私には写真の知識は全くありませんが、PixelMator様のおかげで露出の悪さや

トリミングの悪さはカバーできますので、素人の私でもまぐれで気に入った作品が

生まれます。てなわけで、そういうのを月1枚づつほど掲載する超素人写真館です。

お笑い下さい。 


「復活祭」



                               INDUSTAR 3,5/50


今回は、いつもお邪魔する滋賀県豊郷小学校旧校舎と同じ、ヴォーリズ氏の設計になる名古屋の教会に

行ってまいりました。昨年の十二月、クリスマスイブには、東区の

「日本福音ルーテル復活教会」こじんまりとした家庭的な教会堂でしたが、今回の千種区今池にある

「日本福音ルーテルなごや希望教会」は街中だけあって、大きな教会です。


この日は、朝から少し微妙な天気。うちから今池まで自転車で行くのに間に合うぎりぎりまで、

自転車で行くかバイクで行くか悩みました。バイクなら途中で雨が降ってきても、なんとかなるから。

結局なんとか天候は回復しそう。という事で、自転車で。



                        iPhone6


ちなみに、突然ですがこれはその日の朝食(の一部)

最近のマイブームで、たいへんおいしいちーかまです。カロリー高いですが。

あとはトーストとコーヒー。いつもは卵を一個食べますが、この日はパス。

「今日は教会で卵貰えんじゃね?」と浅ましくも思ったからです。

そうです!この日(2016年3/27)は、イースター。

クリスマスと違い、イースター(復活祭)は年により全く日にちがちがいます。

イエス・キリストが十字架につけられ、処刑された金曜日の三日後。つまり日曜日がイースターで、

これは当時のローマ帝国の春の祝祭の期間中に処刑があったため(こういう血なまぐさい行事が、

当時のローマ帝国ではイベントだった)、その風習に従っています。すなわち

「春分の直後の満月の後の日曜日」が主が復活されたイースターなわけで、月の満ち欠けの関係で

3/24頃から4/20頃まで、1ヶ月近い差があります。言い伝えでは、最初の復活祭、すなわち

イエスが処刑の三日後に甦った日は4/15の日曜だったと言われており、処刑された日がいわゆる

「13日の金曜日」なわけですね。

ちなみに私が生まれた1954年のイースターは4/18と大変遅く、私は4/16の金曜に生まれましたので、

私は受難日生まれ。母は生きるか死ぬかの大変な難産だったそうで、そんな思いで産んでくれたのに、

こんな私ですみません。という気持ちでいっぱいです。今年の受難日も結局肉喰ってたし(汗)。

で、欧米ではイースターには卵(ひよこが生まれるを復活にかけている)がつきもの。

日本では、聖バレンタインのチョコの方が主の日を食ってますが、子どもの頃、教会で卵を貰ったので

ひょっとして。という皮算用なわけです。


さて、自転車でゆるゆる出発。

今回のお供は、PENTAXの*istDに、ちょっと癖のあるレンズをつけました。



                          iPhone6


INDUSTAR 3,5/50。ソ連が、国民のために生産した一眼レフカメラのために作ったレンズで

数あるシリーズの中ではコンパクトな部類です。

私は前から、この*istDに使うための、お散歩レンズ。極薄のいわゆる

「パンケーキレンズ」が欲しかったのですが、有名なペンタックスや、発売当時は、ほとんど

「おまけ、カメラの蓋代わり」と呼ばれたのに、今は3万以上の値が付いているリコーなどの

パンケーキは高くて手が出ず、少し分厚いですが十分コンパクトなこのインダスターを

当時3000円ぐらいで購入したのでした。

ところがこれ、当時の社会主義国のソ連で本当に庶民のためのカメラについていたもので、

テッサー型というんですか、少ないレンズ枚数のわりに、いい写りではあるのですが、

逆光に弱いわ、ゴーストは出るわで、とてもお散歩カメラという雰囲気じゃない。

しかも開放の3.5まで開けないと、ファインダーが暗いので、とてもじゃないけど、老眼では

ピントも合わせにくい。そうこうしているうちに、iPhoneの絵が結構いいので、一眼は

たまに広角か、望遠ズームのオートフォーカスしか使わなくなり、最も使ってなかったレンズで

あったので、この際”復活”させたいと思ったわけです。


途中で風景の試し撮り。それほどドキッとする描写力のないレンズですが、

日当たりがいいと、結構お気に入りの写真が撮れそうです。



                               INDUSTAR 3,5/50


さらにジテンコ(名古屋弁)を漕いで今池まで行きましたが、ちょっと早すぎたので、

近くのコメダに。



                               INDUSTAR 3,5/50


相変わらず、朝からムダに常連が多いナゴヤの喫茶店。

朝食は自宅で、ではなく、喫茶店でコーヒーとモーニングで、昨日のドラゴンズの試合の話をする。

これがナゴヤの文化なのですね。

結局ここで、モーニングにトースト(半分)とゆで卵がつき、決して断らない私はここで卵を食す。

教会でも卵をいただけたので、これは冷蔵庫に入れて、翌朝食べました。


で、教会に向かいます。この教会は併設のルーテル幼稚園があるので、その父兄の方等で入信される

方もあり、最近の高齢化著しいキリスト教会の中では、活気のある教会でした。

外観にヴォーリズ建築の雰囲気が…。

あんまりないですね。



                  INDUSTAR 3,5/50


大柄な屋根を持つ、一目で見て教会とわかる建物ですが、ちょっと尖塔とのバランスが悪い。

まあ今池という繁華街で、電線が横切ってるわ、標識はかしいでるわ。という日本の街中の

汚い風景そのままですね。この写真を撮るために、教会の前のタイムスに入らせていただいた

のですが、タイムスなんて十中八九、建物を壊して駐車場をつくってるので、往年はもっと

ゴミゴミした街並みの中に立つ教会で、それほど美しい立地ではなかったと思います。

聞けば戦後、ヴォーリズ氏再来日後の設計らしく、資材の面でも随分不足だったのでは

ないでしょうか?

このアングルだと、かなりかっこいいですが。



                                    iPhone6


豊郷小学校もそうですが、私はヴォーリズ建築の真骨頂は、外観がカッコよくみえることではなく、

「中に入って、感じ入るものがある」点だと思います。

豊郷小学校の卒業生たちが、訴訟までして取り壊し派の町長から校舎を守ったのも、今となっては

鉄筋造りのビルによくある四角い外観ではなく、実際に6年間暮らした、教室の廊下の階段の講堂の

隅々に、ヴォーリズが子供たちのために設計した温かみが、記憶となって心に灯っていたからでしょう。

東区の教会にも感じましたが、礼拝堂内部のレイアウトの見事さ。



                                    iPhone6


これは、礼拝というものを知り抜いている設計だと思いました。今回本当の礼拝(昨年は夜の

キャンドル・サーヴィスだった)に参加して、ルーテル派の礼拝が、私の知っている礼拝とは全く

違った形式を持っており、この教会堂がそのために設計されている事を痛感しました。

ルーテル派。もちろん1517年宗教改革を始めたマルティン・ルターから始まった、

新教(プロテスタント=抵抗する人々)の元祖です。

信徒代表の当番が、聖書、燭台、その日の説教題を掲げた幟を、列を作って聖壇に運び、

詠唱のような牧師の司会によって、極めて儀式的に礼拝が進む。会衆は立ち上がらずに

賛美歌を歌う。等おそらくこれは、16世紀のドイツのカトリック教会の礼拝形式を色濃く伝えていると

思いました。カトリックのミサも何度か行ったことがありますが、それとも違いました。

ルター派のあと、より信者よりの発想で(万人祭司とか)分かれて行ったカルヴァン派などの影響を

アメリカや日本の教会は強く受けていますので、これほど儀式的要素の強い礼拝には驚きましたが

その礼拝を最大限に演出できる舞台装置が、ヴォーリズ建築の真の凄みだと思いました。


豊郷小学校と同じく、耐震構造の点で、戦前戦後の名建築は、莫大な資金をかけての補強工事か、

取り壊して新しい建物にするかの選択を迫られており、この教会堂も取り壊して新しい建物に、

今年中になるそうです。このニュースを教えてくれた教会員の方に、

「残念ですね」といいましたら

「そうなんですが、補強工事の資金より新築の方がはるかに楽なんです。今度の建物も、高名な

建築家に設計を依頼するんですよ」と言っておられました。

次の建築家の方が、願わくばヴォーリズ氏ほど、ルター派の礼拝を知り抜いておられんことを。

この教会の場合、失礼ながら外観はそれほどヴォーリズ建築中の傑作とは思えませんので、

現代の才能ある建築家の手により、街のシンボル、灯台になるようなデザインになるといいと思いますが、

できれば、内装はそのまま踏襲されるといいなと思います。

この調子で、取り壊しに会う前に各地のヴォーリズ建築を、できるだけ多く見ておきたいものだと

思いました。学校法人などは大丈夫でしょうが、教会や個人邸宅は、もう時間の問題な現状のようです。


帰りに、たらたらジテンコを漕いで、途中こんなベンチで一休みなどしながら帰宅しました。

晴れてくると、このレンズもなかなか味のある描写をしますね。



                               INDUSTAR 3,5/50


日曜日に仕事がほとんど入ることもあり、礼拝なんて何十年ぶりでしたが、特に儀式的なところに、

かえって惹かれてしまうのは、歳とったせいかもしれません。

定年して日曜が休みになったら、顔だしてみるかな?とも思ったりしました。




 
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