2014年4月 

 

  題名 「あいでんてぃてぃを求めて」

 

                               Sigma DP-1  


 歳をとると言うのは哀しいもので、色んなところにガタが来ます。

老眼に気づいたのは40台の頃ですが、最初は暗い所でやけに見えづらい。

鳥目かな?と思って人参をかじったりしてみたのですが(笑)、改善しない。そのうちに

明るい所でも近くが見えづらい事に気づく。

しばらくは、近視眼鏡の度を下げたりして対応したのですが、じきに眼鏡を取らないと本が

読めなくなりました。


 私が近視眼鏡を掛け始めたのは中二の時。友人に眼鏡男子がいたので、

「ちょと貸して?」といってかけたら、なんか世界が一辺して美しく見える(笑)。

慌てて眼科に行って、

「僕仮性近視でしょうか?」

「いや立派な近視だね。」すぐ眼鏡屋に。それ以来です。

私が眼鏡を作る時、一番困るのは、顔の幅、あと顔とのバランスです。

前者はつるの部分と顔が擦れる。メタルフレームは基本的にNGです。

チタンフレームと言うものが出て来る前は、ここが擦れて汗で腐食し、ヤスリの様になって

顔を傷つける。

「げ!なんか血が出てるよ。」位の凄まじさ。あーかなり痛い話になってしまった。


 後者は顔自体がでかいので、あまり小さな眼鏡は似合わない。

洒落でジョンレノン風眼鏡を作ったときも、サングラスにしたので、

「怪しい東南アジアのバイヤー。」とか、

「界王様(@ドラゴンボールZ)」なんて言われました。

だから昔から老眼鏡用フレームのお世話になっておりました。当時はその手のは、

でかいのが

多かったですからね。いきおいセルフレーム党になります。


 3年程前、仕事中に突然フレームが中央からまっぷたつに割れまして、セロテープで

繋いで応急処置をしたら、皆に爆笑されました。どうしても歪むんですよね。

福笑い状態(笑)。

すぐに眼鏡屋にいったのですが、当時はまだ遠近両用は高かったのです。いや正確に

言うと安売り眼鏡店では安い遠近両用もあったのですけど、最初に遠近両用を作った時

(フレームが割れた眼鏡を作った時)安売り店も廻って遠近だけは高いのを確認した

ので、今度も状況は変わらんだろうと、普通の町の眼鏡屋さんに行きました。

ここはバブルな頃によく眼鏡を作った(そんなフレームが割れるまで使うなんて事は、

当時なかったんです)店で、今回も何気なく、作りに行きました。


 もう3年前の時点で既に我々大顔族には大変つらい状況になっていました。

全ては中田英寿がいけないと私は思っています。彼が小さい眼鏡を好んでかけ、

「あ、小さい眼鏡がかっこいいんだ。」と誤解した(誤解です。貴方の顔には似合わない

(川柳(笑))民衆が、こぞって小さい眼鏡に替えた為気がつくと眼鏡屋の店頭から、

大きなフレームが消えてしまいました。

これが誤解である事は、最近ようやく民衆も気付き始めており(南海キャンディーズの

ボクシングしない方の、でかい顔と小さな眼鏡のキモさがきっかけと私は見ています)、

さらに来日するハリウッドスター男優の、空港での私生活用眼鏡のでかいセルフレームに

影響されたキムタク等が愛用。お!いいじゃん。という流れです。


 既に当時は小さな町の眼鏡屋でも、まず大きなフレームは扱わなくなって来ていました。

変化を嫌う年寄り用のフレームさえ、小型化して行ったのです。

「なんかでかいフレームないですか?」

「そうだねえ。もう今は…。」

ふと陳列棚の奥に目をやると、ひときわでかいフレームが。

「あ、このサングラス…。」

「ああ、それレイバンのもう廃盤になったの。」

不良在庫(デッドストック)があったわけです。

レイバンと言えば、あの卵形のシューティンググラス(松田優作とか)。

私も大学時代に度付きサングラスを作り、その後も一回買いました。

ただ例のつるヤスリ現象が…(おそがい※)。

その後ブルースブラザーズ、MIBなどで、セルの黒縁サングラスも定番化し、実はこれの

度付きも持っています。しかし、今回のは少し丸みのある茶色。


※名古屋弁で、おそろしい事。可愛い女の子が言うと可愛い。

 「何でおみゃーキスしよとすると逃げるの。」

 「だって…おそがい。」

 これは可愛い。ただ、崩れて、

 「おそぎゃー」になると、やかましい。


 「これにレンズ入れてよ。」

そうです。ボンビーノな私はフレームが割れた眼鏡をそのまま流用しようとしたんです。

「それは無理だよ。こっちのレイバンの方が枠が大きい。」確かにそうです。

このレイバンを顔にはめると、もう俺の為に作った?と言う程フィットする。

ただし、鼻あての部分はスカスカ。この辺は鼻の高い外国人用ですな。

シリコン盛ってカバー。

まあ私のアンパンマン状ほっぺをもってすれば手を使わなくても眼鏡をあげる事は

なんでもない事ですけどね(自慢にならん(笑))。


 結局この店で、このレイバンに遠近両用レンズを入れて貰い。金額が3万5千円。

既に貧乏な私にとって、後悔する買い物でした。

実は当時既に安売り眼鏡店のレンズは近視でも遠近両用でも価格は同じ。

情報不足で高い眼鏡を買った私は、かなり肩身の狭い思いでした。

でも、職場でちょっとお洒落な女の子に、

「ふーん、何気にレイバンなんだ…。」と

言われた時は、結構嬉しかったです。まあ好きでレイバンにしたんじゃないけど。


 今回その愛用眼鏡の度が合わなくなった時、そんな経緯で、まずレンズだけを安く

交換してくれる店を探しました。

安売り店では、フレームセットしか売らない店もありますが、持ち込みOKの店もあります。

そういう店で、検眼していざ交換という段になって、フレームからレンズが外せない事が

判りました。セルフレームに多いそうですが、フレームが歪んで、レンズが外れなくなる。

無理に外そうとすると、そういうフレームは劣化してますから、割れてしまう。

眼鏡屋は嫌がるわけです。


 計画は降り出しにもどりました。

レイバンのセルフレームは、比較的大きいものがありそうなので、Webで検索。

一部ですがサイズの大きいレイバンはありそう。

最近の大きめセルの流行に乗って、レイバン(ボシュロム社製)は、復刻を始めて

います。ただ私のはまだ復刻されてない模様。

これも検索して、名古屋で品揃えの多い2店を発見。休みの日に行く事にしました。

最初は大須の某店。

「大きいサイズねえ。欲しいんだけど、入って来ないんだよねえ。復刻で徐々に出始めた

んだけど、お客さんのモデルはまだ出てない。」

今後出る可能性はあるとの事。ここは一番まともな対応でした。


 他の店は大抵、

「大きいサイズですかぁ…。そうですねえ。これなんかは、比較的大きい。」と

挙動不審でどうみても中くらいだろう?というようなのを薦める。無理ですって。

度が進んで、近くが見えづらいが、今のフレームはレンズが交換出来ない。と

言う事を言うと、ある店で、

「だったら上にはめるレンズもありますよ。」と

カタログで見せてくれたのが、眼鏡に付ける、サングラスみたいのありますよね。

跳ね上げてサングラスじゃなくもできるやつ。あのレンズが老眼鏡になったやつ。

要は、眼鏡全体の度数を下げる訳ですから、必然近くは見え易くなるわけ。


 その店には在庫がないとのことで、いかにもそういう小物が豊富そうな店へ。

ここは名古屋でも名門な眼鏡店で、高そうなので今回はパスしてたわけです。

そのチェーンの近所の店に行ってみる。

ここも大きいフレームはない。ただ老舗の面目にかけて、意地でも捜します。

みたいな感じでしたが、価格的にちょっと無理。やっぱり3万以上かかっちゃうのね。

接客してくれた超美人の店員さんに件の器具の事を聞くとすぐ出してくれました。


 3150円とリーズナブル。これでなんとか今のフレームを大事に使って、私の

モデルの復刻を待とう。もうこのフレームじゃなきゃ嫌だ(我が儘爺モード)。

待っていてくれ、私が小説家として収入を得る様になったら(まだ言うとる(笑))

必ずあなたからこのフレームで眼鏡を作るぞ。

ボシュロム、早く復刻してくれ!

○○文庫編集部、俺の小説売ってくれ(笑)。

 
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