2010年5月 

 

  題名「宝物」 


                         Super-Takumar 1:3.5/28


   最近猛烈に欲しい物があります。

 iPadでしょう?って。それもそうなんですけど、

 京極夏彦先生(Mac使いで原稿をAdobe Indesignで直接割り付け

 まで指定して出版すると言う)が新刊をiPadで発行と発表、なんて

 聞くと、もううずうずします。

 ですが、おいそれと48800円は出せません。手持ちはありませんし。

 筍生活、というと、持ち物を次々と売って生活の足しにする(筍の

 皮を剥くイメージか?)ことですが、私にはもう剥く物がありません。


  唯一身分不相応なものと言えば、

 「子供達(すみません奇麗事いいました(笑)。」いや

 「ライカM3」なんですね。

 ライカは持ってみるだけで、写真を撮らなくても五感が幸せに震える

 カメラです。それは日本製カメラには無い金属感とメカ感にあります。

 「生まれ年のライカを持つ」というのはライカ好きの夢です。

 私の生まれ年は1954年。この年は秋のフォトキナ(ドイツ)で

 M3が衝撃のデビューをした年。このカメラを手にした日本の

 カメラメーカーは、その余りの完成度に青ざめ、当時主流だった

 距離計連動型カメラの開発を断念。一眼レフへの道を歩みます

 (結果的にはそれが良かったのですが)。あとはこの年は東宝が

 「ゴジラ」を封切りした年(これは単なるまめ知識(笑))。


  と言う事で、私は生まれ年のライカを欲しいと思い、出来るだけ

 年式の古いライカM3を捜しました(安いし(笑))。

 ダブルアクション(フイルムを巻き上げるのにレバーを2回動かす。

 後期型はシングルアクション)のライカM3が格安でありました。

 当時の市価の半額だったので、ちょっとビビりながら購入。案の定

 調子が悪くなり、修理に出したら修理費が買値と同じ(涙)。

 そういうカメラでしたが、紛れも無い初期型で、

 「これで生まれ年のライカが手に入った!」とご満悦でしたが、

 恐ろしい事にライカはシリアルナンバーで、全て製造年が判ります。

 確認すると、残念ながら1955年製でした。

 思えば10月頃のフォトキナで発表ですから、その年にM3を手にした

 人は少ない筈。

 「まあ部品は1954年に作ったんだろう。」と無理矢理納得させ

 ましたが、54年製の旧型ライカに買い替える気もせず、今に至って

 います。

 ちなみにレンズ(ズミクロン5cm/2.0)は紛れも無く1954年製でした。


  大切な私の宝物ですが、最近は殆どデジカメしか使いません。

 フィルムは手に入りにくくなっているし、現像代はかかるし、

 現像したフィルムは、結局スキャナーで読み込むので、銀塩写真

 なのか、デジタル写真なのか、なんか微妙な所です。

 もう二度と買えないと思うので、手放したくはないのですが、もし

 今度壊れたら修理代もないので、もう売ってしまおうかとも

 思っています。ただ、

 「生まれ年のレンズ」だけは持っていようかと思います。


  ライカを初めとする距離計連動型カメラは、中にミラーを必要と

 しないので、レンズ末端とフィルムの距離(フランジバック)が短く

 出来ます。そのため、ライカM型用のレンズはフランジバックの長い

 一眼レフカメラには付きません。

 世の中にはアダプタと言う物がありますが、無理なのです。

 最近オリンパスやパナソニックが提唱している

 「マイクロフォーサーズ」という、ミラーを介さないレンズ交換型

 デジカメ規格(画面はモニタだけで確認)だと、この距離が大変

 短いので、アダプタを使えば、色々なレンズが(勿論ピントは手動)

 使える訳で、結構クラシックカメラ好きの間で話題になっています。

 ライカMのレンズも勿論使えます。撮像素子が小さいので、50mm

 のレンズが100mm換算になってしまいますが。


  また最近ソニー(旧コニカミノルタ)が「Eマウント」という、

 さらにフランジバックの短いレンズ交換型コンパクトデジカメの

 規格を発表しました。他の規格に組しない所が相変わらず、

 ソニーらしいというか、お山の大将気質が治ってないですが、

 マイクロフォーザーズよりはやや撮像素子が大きい(一般的な

 一眼デジカメと同じ大きさ)ため、50mmレンズが75mm換算と

 いう点がマイクロフォーザーズより、さらに魅力的です。

 デザインもソニーらしくてかっこいい。別売の革製ケースを

 付けるとさらに・・・(危険な一目惚れモード)


  デジカメ全盛で、銀塩クラシックカメラの買値は下がっており、

 私のライカも、この手のデジカメを買う程の値がつかないと思い

 ますが、売り時かなあ・・・。

 バブリーだった時代の道楽で最後に残ったカメラですが、ライカは

 まだ修理が利くので、これからも使って下さる方が居られれば、

 その方が

 「イッコ下のライカ」にも幸せかもしれません(ちょっと涙)。

 
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