2012年12月 


「好きな人に会いに行く」


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 というと、私の場合何年かに一度、無性に会いたくなる

「おさげ髪の少女」とか。名古屋市美術館に行く前に、ネットでモジリアニ展を

検索する訳ですよ。他所の美術館で開催されると、まず貸し出されちゃうからね。

「来てくれたの?ごっめーん。あしさ、来てって言われると、断れないのよね。

うん、札幌行ってた、2週間。とうきび美味かったさー」

とは、あの子は言わないでしょうが、まあ花形ですからね。


 さて今回私が会いにいったのは、もう言うまでもなく、最近の大マイブーム

「よつばと」の

「ダンボー展」です。


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「よつばと(あずまきよひこ)」

これは本当に大事な作品になりました。私の様な既婚者で子供が成人したものに

とって、子供達が小さかった頃、今から20年程前の思い出は、宝石の様に大切です。

ですが、それは断片で、探せば当時撮影した8mmビデオとかありそうですが、いかんせん

再生する機材がもうない。

これから孫が可愛いなあという、東北の林檎農園経営の演歌歌手みたいな心境になるので

しょうが、私も晩婚で子供達も、一向に結婚の気配もなく、

生きている間に孫の顔が見られるか…。


 そんな私にとってこの作品は

「幼児の可愛さ」を凝縮した、魅力的なエピソード満載で、主人公の

「小岩井よつば」の予想の斜め上を行く言動に、笑い転げる毎日です。

決してお人形さんの様な可愛らしさではなく、判って使っているのかどうか、

大人びた物言いに、

「うちの子もそうだった」と共感する事しきりです。

おそらく結婚していない、あるいはお子さんのいない方にも、

「架空の子供を持つ嬉しさ」を感じられ、そのことが、この作品が幅広い年齢層の

ファンを持つ原因となっていると思います。思えば、知人の父親(当時50代)で、

立派な社会的地位を持つ方が、

「ちびまるこちゃん」の熱心なファン。というのを聞いて、

「人は見かけに寄らないものだな」と思ったのは、20代の頃でしたが、今なら

その方の気持ちがよく判ります。

まる子との違いは、まるこは既に小学生で、社会性を身に付け、集団の中で生きる

処世術を学びつつ(この過程でまるこがやらかす失敗が、魅力の一つな訳で)

あるのに比べて、よつばは全くの天真爛漫。周りの大人や年長の子供達も、

よつばの破天荒な言動を愛しつつ、人としてやっちゃいけない事は、ちゃんと教える。

というストーリーが心地良いのです。


 この作品(単行本既刊12巻。連載中)だけは、常に手元に置いておきたい。

「電子化されるのを待つか」とも思いましたが、電撃コミックス(メディアワークス)

と言う、IT系とも深い馴染みを持つ出版社が手がけておりながら、未だにどこの

電子ブックスにもなっていないのは、ひょっとして作者が拒んでいるのではないか?

と思いこれは、やはり紙媒体で所持しよう。と決心しました。最近では

「謎の彼女X」

「物語シリーズ」に続き、かさばる紙の状態で揃えたくなる作品です。

今後老人になって(今でも大概ぼけてますが(涙))、独居老人になっても、

施設に入っても、最後まで持っていきたい本です。読んでいると辛い現実を忘れ、

楽しかった頃を回想出来ますので。


 と言う訳で、結局一気買いする事にいたしました。やっちまったなぁ(汗)

最初ヤフオクで落札も考えたのですが、オークションは魔物。熱くなって予定外の高値で

買ったりしますし、送料は落札者負担が普通ですから、結構高いものにつく。

で、Book Offで地道に探す事に。

幸いこの作品は人気があり、発行部数も多いので、見つけやすいのです。

謎の彼女Xの時は、どこに行ってもなくあきらめて大須の有名な

「まんだらけ」で買いました。ここは流石にマニアの喜ぶ中古本を完全に網羅しており、

程度も大変いいのですが、その分やや高めです。

今回のよつばとは、まんだらけで420円、Book Offだと350円です(定価600円)。

しかもBook Offには、105円コーナーもあり、多少程度が悪くでも気になりませんので、

これは有り難いです。

今回も2冊を105円で買えました。


 豊川行きの前日(11/8)。この日も休みでしたので、大須方面に遠征。

東別院のBook Offで、2冊ゲット。

この時点で、もうセット買いする事は断念です。自力収集の道を選んだ瞬間です

(おおげさ(笑))。

帰りに新瑞橋店、植田店と廻りましたが空振り。地元の平針店で1冊見つけ、

これで3冊ゲット。

翌日豊川店で2冊ゲット(ここの店員さんは、"105円コーナーも探して来ますね"

と言ってくれたナイスガイです。私が豊川市民なら友達になりたい(笑))。

帰路で立ち寄った蒲郡店(昨年一緒に短いツーリングした友人の職場を訪問し、

豊川の稲荷寿司を差し入れ)でなんと4冊の大漁。ここでは、350円の方を

案内してくれて、ここで2冊。自力で105円棚から更に2冊をゲット。

この時点で9冊購入でした。

過酷なB1グランプリ取材にも関わらず名古屋に戻ってから、更に滝の水店で2冊追加。

ついにリーチとなりました。

ところが、この最後の7巻がどうしても見つからない。

結局川原通店、上社店(ここの店員は唯一よつばとを知らなかった。オタクでない店員に

ぶつかるとこちらが困ります。Book Offはバイト採用にオタク試験をして欲しいです(笑)

まんだらけはその心配はなし(爆))、長久手店と廻り、再度念のため植田店と平針店も

立ち寄ったけど空振り(平針店には昨日なかった巻があった。結構流通は速いようです)。

この日実に8件廻っていました。

馬鹿ですね。

日頃自転車ばかり乗っているので、たまにカブに乗ると、行動範囲の広さに酔ってしまう

所があります。酒気帯びでなくても、酔って運転は危険です(笑)。


 結局まんだらけで420円で買おうかと思いましたが、念のためアマゾンで検索すると、

中古本も扱っており、371円、送料無料。というお店がありました。これならいいかと

即決。

結局、350円×9冊。105円×2冊、371円1冊。

全12巻を3731円で購入出来ました。

めでたしめでたし。

いいんだ、一生の宝物だから、これから月末までの極貧生活なんて、

なんくるないサァ(涙)。


 全10店のBook Offを廻って思った事。

もちろん、従来からいわゆる男子用のえっちぃ漫画のコーナーはありました。

しかし、今回廻って見て驚いたのは、

「BL本※」と銘うたれたコーナーが、少女漫画の棚とは独立して、設けられている事。

恐ろしい時代になったものです。特に18禁をうたっていないこのコーナーで

本を手に読みふけっている中学生位の真面目そうな少女を見て、私はつい

「風の谷のナウシカ」の登場人物クロトワ(トルメキア第四皇女クシャナの参謀)の台詞

「駄目だ、腐っていやがる」を呟いたのでした(笑)。


※ボーイズラブの略。意味はあえて記したくない。ググレカス(古代ギリシャの哲学者。

 自分で調べようとせず、師に何でも質問する弟子を叱った)!

 BLと言えば、少年時代の愛読雑誌

 「ボーイズライフ」の略だったが、まさか最近では、

腐ったおねいさん御用達本の略になるとは(哀)。



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 さてここまでは先月のおさらい。で、今回の

「ダンボー展」ですが、ダンボーは作品中に出てくる段ボール製ロボットで、よつばの

隣人、恵那の同級生みうら(姓ではなく名前。花屋の大男ジャンボには、

「ランボルギーニ・ミウラ」と親父ギャグで呼ばれている)が夏休みの自由研究で作った、

みうら自身が入れる段ボール製ロボットですが、


恵那の部屋で出会ったダンボーを、よつばは本物と信じてしまう。という話。

あと、みうらの部屋で再会。という話。


この二回しか出てこないのですが、妙に哀愁をさそう姿に、フィギュアが出ると大反響。

特に

「リボルテック(関節が動き様々なポーズが可能)」なミニフィギュアが出ると、

ダンボーを置いて様々な風景を撮影する。というサイトやブログが登場。

あげくの果てに、このキャラが

「よつばと」出自である事さえ知らないでファンな人も多いというブームです。

このたびこのダンボーブームと、よつばと連載10周年(よつばは実年齢15歳か。

それはそれで見てみたい。女子中学生のよつば(笑))を記念し、

各地でダンボー展が開催され、名古屋に来たわけです。パルコに。


 という訳で、行って来ました。

入場料は500円。まあこれならいいけどたぶん小規模なんだろうな?と思って行ったら、

やっぱりしょぼかった。

でも、原画と、設定資料の様々な小物が展示されており、原画の奇麗さ(途中から

デジタル投稿になり、手書き原稿は希少)と設定用小物が、忠実に再現されている度合いに

ため息が出ました。

よつばが買って貰った、自転車とヘルメット。

これだけでお父さんは、泣けてしまうのですよ。

正直、この会場に来ている全てがこの展示が登場する場面の、全ての前後を思い出せる

という、ある意味異常な展覧会ですね。

ファンというより、マニア以外いないわけで。


 隣ではキャッツカフェが、よつばカフェとして臨時営業しており、よつば的なメニューを

楽しめます。


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よつばの顔の書いてある牛乳(もちろん瓶は持ち帰っていいが、2000円!)とか、

欲しいけど買えない。

牛乳は作中の重要なアイテムで、特に父がジャージー牛乳の1000円近いのを

買ってしまい、隣の姉妹に

「男の人の買い物って、そんなもの」と呆れられる場面が好きです。

無駄に高い肉、とかカレーを香辛料からとか、そば打ちセット、とか(赤面している

年金世代のあなた(笑))、いわゆる

「男の料理」って、主夫のあたし達からすると、笑えるわね。


 さて私の頼むメニューは決めてました。

「ソーセージ丼」

作中によつばの大好物として、カレーと共に登場するメニューで、

「ソーセージと目玉焼きを、単にご飯に乗せたもの」

という事しか判りませんでしたが、絵もなく、謎のレシピでした。

980円という価格にはひきましたが、まあ、美味かった。

シャウエッセン的なソーセージが4本。

後は目玉焼きがご飯に乗っているだけ。

というシンプルさですが、甘辛の麺つゆ系たれと、具の下に僅かに敷かれた刻み

キャベツが、いい味を出しています。


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ダンボーのランチョンシートを敷いてくれて、

「汚れたら、代わりを差し上げます」

という念の入れ方。

これを家に多数ある、amazonの箱に

貼ればダンボーの顔部出来上がりという嬉しさ。


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 よつばととの出会いは、私にとって、

「生涯の友と出会う」という感じです。

今期アニメの傑作(これもおすすめ。田舎の学校を舞台にした、日常アニメの最高傑作。

癒されるストーリーと、魅力的な登場人物。そして異常に書き込まれた背景の農村風景)

「のんのんびより」の、海外からの感想まとめで目にした、

「よつばと」という漫画に出会えた事。

実はこれが2013年最大の収穫だと思います。もう何度も繰り返し読んでいますが、

(寝る前に読むと落ち着いて眠りにつける)、これからも何度も読み返すことでしょう。

「無人島に一冊だけ」という有名な問いがありますが、私の場合はこれになるでしょう。

ただし全12巻(来年春には13巻も)ですが(笑)。

いつでも読みたいので、電子書籍化を望んでやみません。出たらぜってい買う。


おらワクワクしてきたゾ。





  

 
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