ささやか写真館
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2013年2月
「瀬戸内海ぐるっと一周旅」
iPhone5
思いがけない旅行をすることになりました。いつものように仕事を終わり、
さあ明日は午前中だけの仕事で明後日まで休み!とちょっと気楽な気分でiPhoneを見ると
姉からメールが。
叔母が亡くなったとのこと。亡父の妹に当たる方なのですが、父の出身地で嫁ぎ、
一女三男を育て上げた尊敬すべき方です。
昨年末義叔父を送り、さぞ心落としであったろうと思っておりましたが…。
亡父の時も亡母の時もご夫婦で参列いただき、私も姉も駆けつけなければ、と思うの
ですが、なにせ愛媛県。今回は相談して、私が参列させていただくこととなりました。
私の方が丸一日半の時間があったためです。
しかし愛媛は遠い。父の故郷は今治というタオルで有名な町です。
のんびり旅行するなら青春18切符もいいのですが、今回は世界に冠たるSINKANSEN
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本四架橋。四国のみなさんの夢。本州と繋がるこの橋は、3つのルートが競合し、
結果3つとも施工するという、極めて日本的。三菱東京UFJみたいな、八方美人的解決を
した事で有名です。私の目的地、愛媛県今治市は、その最も西のルート
「しまなみ海道」の四国側入口で、高校生の時に初めてこの地を訪れた時、3計画が全部
本決まりになり、祝賀ムードであったことを覚えています。
実際開通して見ると、本州の小売資本は乗り込んでくるわ、人々は広島県に買い物に
行ってしまうわで、町全体がシャッター商店街化してしまうという皮肉な結果に
なったのですが、観光的にはこの橋は大きな役割を果たしでいます。
往路はこの橋ではなく、有名な宇高連絡船があった岡山市から香川県高松市に向かう
「瀬戸内大橋」のルートの鉄道に乗ったわけです。あと一本の淡路島ルートもいつか
渡ってみたいと思います。
午前中仕事をして、その足で名古屋駅に向かい、緑の窓口で切符を購入。窓口の
おねいさんが可愛かった(笑)。
もちろん松浦商店の
「鶏ごはん」を購入。昔に比べると高いなあ、1050円。
でも実際弁当を広げてみると、昔とは考えられない位豪華。全部鳥肉のおかずという
のが執念を感じます。昔この駅弁を食べると緑のプラスチックのスプーンが付いていて
(鶏そぼろと炒り卵をすくうため)、当時は結構プラスチックが珍しかったため、
持ち帰った覚えがありました。崎陽軒のシウマイ弁当についていた陶器製の醤油いれも
持ち帰りましたが、まず再利用する事がない(せいぜい習字の時の水入れ)のに対し、
こちらは大活躍。今回の透明スプーンも、カバンに入れました(笑)。
さて、今回はカメラも持参せず、iPhoneだけですべてを済ますことにしました。
覚えておられるでしょうか?
私、iPod touch時代にAppleワイヤレスキーボードを持ち歩くためのケースを発明
しまして、今回もこれ、そのままiPhoneでも使えますので、持参しています。
今それでこの文章を書いています。
その他もちろん写真を撮るため、音楽を聞くため、動画を見るため、Kindleアプリで
読書をするため。これらすべてをiPhoneでまかなおうというわけです。
しかもなんとメールや電話もできるという(笑)。
「何でもできるから便利便利」と思ったのですが、長旅でiPhoneをフルに利用すると、
流石に電池の減りが気になります。アプリをなるべく立ち上げないようにしても減って
行く数字におろおろしておりましたが、新神戸を過ぎる辺りで、通路向かい側の方が
なにやら充電器のような物を足元から外している。
「え?AC電源あるの?」
最近の新幹線は侮れませんね。ちゃんと携帯用のコンセントが…。姫路から岡山じゃ
たいして充電も出来ず、在来線特急にはそんなオシャレなサービスもないので、
残量は結構シビアに。長い旅行の時の教訓になりました。
さてJR四国のしおかぜですが、大橋を渡り切ると、いきなり四国のローカル電車になり
ます。特急なんですが、通学の女子高生(限定ではないが)が乗って来たりします。
スカート長いぞー(笑)。
まあ名古屋の名鉄特急のノリかなあ。でも名鉄と違って特急券が要るはずなんです
けどね。
結構長いです。いや所用時間が。
思えば日本地図でいう四国の南側海岸線。弓形に反っているところをなぞっていくわけ
ですからね。風景は本州と少し違いますね。
海岸から山地がとても近い。
ただ穏やかな平地の向こうに、いきなり雪をいただく山脈がそびえていたりする。
あれが讃岐山脈?四国山地か?結構高い山です。
箱庭のようでしかも海の景色もある。不思議な土地です。
まあ濃尾平野が広すぎるので、これが平均的日本の海岸風景なのかもしれませんね。
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到着して、まだホテルのチェックインには早いので夕食を。駅前の食堂をネットで
調べておいて飛び込む(18時までとか)。駅弁屋さんがやっているお店らしく、
600円で、おかずが豊富。あたりでした。
食べ終わって、お勘定したくても誰も出てこない。
明日の駅弁の仕込みで大わらわみたい。食い逃げし放題やんか。と思いましたが、
それだけ平和な町なんでしょう。
さて二日目は本来の目的であるお葬式に出て名古屋に帰るだけですから、
特筆すべき事はない。
はずだったのですが、結構エキサイティングな体験ができました。
式が12時からだったので、10時にホテルをチェックアウトさせられた後、
時間がありましたので、初めての街並みを散歩する事にしました。
今回久しぶりにスーツを着たのですが、恐ろしいことに窮屈なのです。
胴回りが(汗)。
こんな事でもないと日頃はあまり歩かない生活をしているので、
旅先は食べすぎる傾向もあり、ちょっと運動しようと思ったのです。
で式場の場所を確認し、その近くで喫茶店でもないかと物色しておりましたら、
懐かしや、JAZ喫茶がありました。
名古屋ではもうなかなか見かけなくなりましたが、私の学生時代には、どこの
街にも沢山のJAZZ喫茶があり、難しい顔をして指でリズムを取りながら、
マイルスやコルトレーンに聞きいる若者で溢れておりました
(喋ると"しーっ!"とか(笑))。
「今治にジャズ喫茶ねえ」と少し歩くと、なんと!またジャズ喫茶があるでは
ありませんか!もうこれは入ってみろという神の御意志だと思い、
「JUG」という名のその店に入ります。
いかにも昭和の喫茶店という感じで、テーブル席が一つ。
後はカウンター席のみです。漫画もあり。
毛糸の帽子を被った、いかにもマスターという感じの人が迎えてくれました。
テーブル席には常連と思しき女性。
コーヒーを注文して漫画を読んでおりましたまだ30分以上あり、間がもてないので
朝食をと思い、
「トーストありますか?」と聞いたら
「トーストはもう終わったんで、ホットドックなら出来るよ」というので、
それも頼みました。
トースト終わったって、食パンだろ?と思ったのですが、後で考えると、
朝から来る常連のために軽食を用意している様です
ホットドックはマヨネーズ付きゅうりの薄切りがソーセージと共に挟まれている
という、始めて食べるもので、
この辺はこれが当たり前なのか?
マスターの独創なのか?
と思いましたが、もちろんこの取り合わせはわるくありません。
この店で流れていた音楽は、そんなにハードなジャズではなく、ボーカルや
フルバンド系の聞きやすいものでした。
CDがソースの様ですが流石にジャズ喫茶を名乗るだけあり、やけにいい音なのです。
昔のジャズ喫茶は壁一面にやたらでかいスピーカーが置いてあり、
JBLの4343だったり、アルテックのA−7だったりしたのですが、ここのはそれほど
大きな箱ではありません。特徴のある赤いロゴからJBLであることは伺えますが、
せいぜいウーハが30cmだと思います。
思い切って聞いて見ました。
「すごくいいバランスで鳴ってますが、スピーカーは最近のものですか?」
「いえいえ、これはも30年使ってる。これはコントロールモニターというやつで」
4310じゃないの!学生時代の憧れのスピーカーでした。
これとマークレビンソンのアンプが、4畳半マニアの究極の到達点でした。
当時の給料8ヶ月分をつぎ込んで、直接アメリカに注文した事。
なかなか物がこないので、騙されたかと思った頃、とんでもなくでかい木箱が
配達されて来た事等、懐かしくお聞きしました。うんうん。
「うちも前はプリとパワーアンプで組んでたんだけど、アンプが先に壊れるん
だよねえ。交換部品もなくなって…で今は最近の国産プリメイン」
そうなんですよねえ。でもスピーカーもエッジ交換とか必要じゃないんですか?
「プロ用のモニタースピーカーってエッジがべたべたのやつで、30年たっても
問題ない」そうなのか。凄いなあJBL。
音源がCDになってからは、アンプは最近の回路設計の小型アンプの方が良かったり
するんだけど、スピーカーだけは昔の方がいいんですよね。
久しぶりにアルニコ※の豊かな音を聞かせて貰いました。
※1970年代までスピーカー用の永久磁石として使われた磁性体。鉄・アルミニウム
・ニッケル・コバルトを主成分とする。コバルトの高騰から、安価なフェライト
磁石にとって変わられた。
磁石の形状がフェライトとは異なる為、スピーカーには有利といわれるが、
改良されたフェライトやネオジウム磁石との音質の差はないという説もある。
「アルニコ磁石を使っていた頃のスピーカは、作りが丁寧で、いい音していた」
と言うのが真相で、必ずしもアルニコ故ではないのかもしれない。
ところで、なんで今治でジャズ喫茶?
「そうなんだよねえ。まだ8軒ある」
以前JAZZ関係の権威の大学の先生が来て、今治とJAZZの関係について散々調べて
行ったらしいけど、この街は造船とタオルで栄えた商業都市で、小金持ちの旦那衆が
多かったといいます。昔はキャバレーと言えば、ダンス音楽用のフルバンドを抱えて
いるのが普通で、そういう大きなキャバレーが何軒もあったので、
その影響じゃないか?と私より少し年長のマスターは言っていました。
レコード聞かせてくださいよと頼んだら、
もう大定番の
「My Favorite Things (John Coltrane)」を、
「最近は懐メロはかけないんだけどね」と
断りながらかけてくれたマスターに感謝。
この店、朝から営業して、午後は夜の営業(お酒も出す)まで休むらしく、
式が終って前を通ると、
「休憩中」となっていました。
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さて折角なので 今治名物鯛の押し寿司やら、今治風焼き鳥(皮を鉄板でコンガリ。旨し)
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とか玉子焼豚丼(これは学生に人気があった中華料理屋の裏メニューだったらしい
B級グルメブームで人気というが、うーんタレが甘すぎる)とか、結構食べ歩いて
腹一杯。時間がたちました。
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その後、しまなみ海道で福山までバスで行きました。瀬戸内に浮かぶ島を吊り橋で
結ぶこのルート。それぞれの島は想像していたより大きく、橋で結ばれたからかも
知れませんが、コンビニとかもあって、四国と余り変わりません。平地は流石に
少ないですけどね。
「は!か!た!の、塩!」で有名な伯方島もこの島の一つです。
↑瀬戸の日暮れ。夕波小波♪↑ iPhone5
福山に到着後、駅前の有名な尾道ラーメンの名店で夕食。と思っていたのですが、
既に満腹&定休日(涙)。
福山発の時刻表を調べたら、福山で1時間程時間を潰すと、500系のこだまに乗れる事が
分かりました。
これ、一度も乗ったことがなく、前から乗りたかったんです。
ドイツのデザイナーが設計した近未来的なフォルム。白が基調の新幹線のなかで、
珍しいブルーメタリック。前務めていた会社の職場が名古屋駅の近くのビルで、
窓からこれを見るとラッキー!という事に勝手にしていました(笑)。
まあ外見はサンマっぽいんですけどね(笑)
JR東海での運用廃止で、大阪以東には来なくなってしまい、山陽新幹線のこだま
車両としてのみ一日何本か運行しています。
ちょうど名鉄特急パノラマカーが晩年(既に引退)に普通電車として使われていた
ようなもの。
当然大阪までなので、乗り換えて名古屋まで行くと、帰りが21時。
翌日は仕事なので迷いましたが、本当にこれを逃すと
「俺の寿命が尽きるのが先か、500系の寿命が尽きるのが先か…。」
と思い、駅前のドトールでこの原稿を書きながら、待つことにしました
(ここもスマホ、ノートPC用電源あり。助かる)。
乗るのは当然先頭車両です。空力のためノーズが極端に長い500系では、
最前列の前側ドアはなく、一番前の座席は一列シートのはず。そこに乗りたい。
ようやく列車が着ました。もう大興奮でPhoneで写真撮りまくりです。
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先頭車両の後ろドアから乗り込み、一番前に。
ところがそこには驚きの光景が!詳しくはCMの後で(嘘)。
確かに時刻表に、子供運転席がどうのと書いてありました。最前列の座席は取り外され、
なんか
「電車でGO」みたいなものが…。
子供さんが座って運転手になったつもりになれるものらしい。
まあ時間が時間なので子供さんがくるわけでもなく、というよりこの車両には、他に
誰も乗っていない。
まあいいかと思ったのですが、前の壁、本当の運転席へのドアがある壁一面に、
運転席と前に見える風景が描いてある。
「銭湯の書き割りじゃああるめぇし」
近未来の乗り物に乗るつもりが、子供遊園地(しかもデパートの屋上クラス)に来て
しまった様で、何とも興ざめ。
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まあこれだけなら、後ろの車両にのればいいので、我慢もできますが、こだまって
やっぱり追い抜かれるんですよね。
次の新倉敷で待ち合わせ。次の岡山では、なんと15分以上停車。
その間にさくらとのぞみに追い越される。
結局夢の500系体験は30分で切り上げ、先発する東京行きののぞみに乗り換えてました。
独特の走行音(結局空気抵抗に勝る700系のカモノハシノーズに主役の座を奪われた短命
の車両だった)をもう少し楽しみたかったのですが、名古屋着時間が40分違うと
なると現実を優先せざるを得ませんでした。
30分だけでも長年の夢が果たせて良かったです。
でもあの書き割りはないと思います。
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