2011年3月 

 

  題名「でかいよねえ」


                          

                              Sigma DP-1


 名古屋市科学館が遂にリニューアルオープンと言う事は、結構この地方ローカル

 ではニュースになりました。地元のマスコミも、特に

 「世界最大級のプラネタリウム」と連日報道しておりました。

 しかしながら、ナゴヤ市民として申し上げると、これは、明らかに間違いで

 ございます。

 「級」ではなく、世界最大です。

 実は巨大プラネタリウムの大半は日本にあり、四国のそれを直径5m上回って、

 世界一になりました。

 なぜこんなに日本の人はプラネタリウムが好きなのか?


  私もプラネタリウムは大好きです。もう楽しみで楽しみでしょうが無かった

 のですが、あいにく開館初日は、休みではなく、3日目が漸く休みである事が

 判り、結構がっかりしていたのです。

 ところが、初日は機械のトラブルで上映中止。

 その場にもし私がいたら、あまりの怒りに自暴自棄になって、隣の美術館で

 「ゴッホ展」を見た事でしょう(意味不明(笑))。


 2日目の日曜はなんとか上映出来た様で、私は慎重に計画を練りました。

 「何時から並べばいいのか?」

 他の街の人には信じられないかも知れませんが、ナゴヤ人は、プラネタリウムが

 大好物です。

 海老フライよりも、天むすよりも、味噌カツよりも好きと言って過言ではない

 でしょう(適当(笑))。

 旧科学館の頃も、平日はともかく、休日の午後はまず切符が取れませんでした。

 朝のうちに午後の部も完売してしまうのです。


 おまけに愛地球博のせいで、名古屋人は並ぶ事を余り苦にしません。

 新しいドーナツ屋にも、

 はやぶさのカプセルにも、もうなんでもかんでも並びます。まして

 「せきゃぁせぁあでやぁあ。」のプラネタリウムのこけら落としに、

 一体どれだけの人が並ぶのか?

 前日急いで寝ても12時。自分の体力と相談して、出した結論が、

 「販売1時間前(8:30)から並ぶ。」でした。


 犬の散歩を子供に頼み、6時に目覚まし。前日から天気予報で予測して

 いましたが、天気は冷たい小雨。辛い戦いになるぞ。

 バイクはやめて地下鉄で行く事にしました。

 伏見到着が8時27分。まずまず予定通りです。

 伏見駅から、科学館まではそれほど遠くありません。

 歩いて行く途中、なんかバイト風のおねいさんが!手に持っているのは、

 「最後尾」でも、

 「本日完売(そなアホな)」でもなく、上映時間でした。よかった。


 建物に近づくと、すでに長い行列が。

 はやぶさの時、白川公園を取り巻いてしまった経験からか、きちっとロープで

 折り畳まれた行列で、色々勉強している事を伺わせました。

 やはり家族連れが多く、その点気の毒です。

 「暑さ寒さも。」の彼岸なのですが、今年のこの気候ですから、みな防寒は万全。

 私も、ダウンジャケットを着て来て良かったと、深くしまむら様に感謝した

 次第でございます。

 図書館で借りた、よく判らない文庫本を読みながら(閉店近くの半額シールが

 貼られた弁当奪取に青春をかける高校生の話(汗))、9時半を待ったのです。

 

 しかし私は大きな間違いをおかしました。

 「販売開始9時半」なわけで、

 「私が切符を買えるのが9時半」ではないのです。つまり9時半に販売が開始される

 時、私の前には何百人という人々がいる訳で、基本的にまとめ買いは出来ない

 ので、観客の実数に限りなく近いのですが、一回に350人という(豪勢な事に

 旧プラネタリウムと同じ観客数。広くなった分、椅子がでかく、間隔も広くなって

 いる)、キャパを考えると、初回鑑賞はほぼ絶望的です。他の展示を見てその後に

 二回目のプラネタリウムか…。


 後ろの家族連れのお父さんはかなりイライラし始め

 「もう今日は無理かも知れないから、帰ろうか。」と言い出す始末。確かに前には

 ざっと500人以上の人がいましたが、そこまでは並んでないだろ…。

 子供達も、もう飽きて来てだんだん不機嫌に。それにしても、こういう列に並ぶ

 子供のDS所持率は異常に高いぞ(笑)。


 ようやく入り口前まで列が進み始め(雨が止んだせいで傘を畳むので、列が短く

 なった)、9時半の販売開始。

 「CBC(地元TV局)が来とるぞ。俺顔映るとヤバい。」

 と急に機嫌が良くなったお父さん。休日出勤断って、子供と来たな?

 いいお父さんだ。でも安心して。TV局はそんなに長くカメラ回さないから。



                              Sigma DP-1


 シネマコンプレックスの様なモニター掲示で、現在の販売状況が刻々と表示され

 ます。第一回目の販売が終了したのが、丁度私が建物に入った時(まだ先には

 折り畳んだ列が…)。後ろのお父さん、

 「あーあ、一回目売り切れてまった。」

 でもお父さん。この列が進んで、切符買える頃には、第一回目が始まってますよ

 (笑)。この時点で、少なくとも2回目の席は確保出来そうと思い、安堵した私。


 6台程あった券売ブースの一つに案内された時は、もう座席指定であった事は

 判っていました。

 旧プラネタリウムでは自由席であったため、券をゲットしても、いい席を確保する

 ため上映数十分前から、並んでいたものですが、今回のシステムは○。

 席は選ぶ事は出来ず、まあ今度の投影機は球型で、まえの細長いのの様に影で

 星が見えないという席はないので、どこでも良い訳です。しかも席がとても

 ゴージャス。倒れるだけでなく左右に30度程回るので(床屋さん椅子状態ね。

 上下には動かないけどね)、大事な星の見逃しは少ないのです。席による不利は

 余りない訳ですね。


  ようやく11時20分の回が取れて、さあ館内の展示


                              Sigma DP-1

 (↑は竜巻の実演)を見ようかという時はいわゆる

 「くたぶれてまった。」状態に。まだ並んでいる人達を

 まるで、ムスカ大佐の様な優越感で(笑)眺めながら入り口の向かいにある

 カフェへ。



                              Sigma DP-1


 沢山の人が並んでいるので、こりゃやめとこうかと思いましたが、食べ物を買う

 列ではなく、トイレを利用したい列でした(汗)。この辺は改善すべきだと。

 ここのメニューはネーミングがかなり変で、カレーが

 「ブラックホールカレー」だったり、ミートボールが

 「隕石ミートボール」だったり。しかもなんでそのネーミング?と思う商品写真。

 もう学祭模擬店感覚満載です。


 あっしは、ブラックホールで早めの昼食をとりつつ、

 変なラノベを読んでおりました。2回目が始まる少し前に館に入り(もう他の

 展示は見る気なし(笑))

 間に合う様に到着しましたが、その頃既に午後まで完売でした。

 「すげー並んでる。まさかプラネタリウム見れない事、ないよね?」と言いながら

 最後尾に並んだ若者がおりましたが、特に同情は感じませんでした。社会の厳しさ

 を身につける、よい機会だぜ(笑)。


 さて本番のプラネタリウムがどうだった?って?

 そうですね。椅子は最高です。

 前のドームと違い、スクリーンに継ぎ目が無いと自慢の巨大ドームも最高。

 かっこいいCGが全天に投影されるのも迫力満点。

 ですが…。なぜか私の感想は、

 「甲子園を湧かせ、大学でも活躍した人気選手が、オープン戦でプロの洗礼を

 浴びる。」図です(特に特定のモデルがある訳ではありません(笑))。


  旧プラネタリウム。確かに地球儀の経線の様な、縦の線。頑張ってもちょっと

 ぼやけた星。星の等級は光の強さで表現するだけ。まあ人間が一生懸命再現

 しようとした星空。子供の頃の感動の記憶と重なって、最後に見た去年夏は

 涙が止まりませんでした。


                              Sigma DP-1

 一方新巨大プラネタリウム。文句無し。星もクッキリ。

 またたいたり出来る。スジなし。星が遠くにある。もう星空そのもの。


                              Sigma DP-1


 と、なると今度はかつて見た本物の星空(長野県とかの高原で)の記憶との

 比較になるんですね。

 そうなると、悪いけど現状ではちょっと勝ち目がない。

 これからどれだけリアルの星空に近づけるか、更にハイレベルな技術革新が、

 この業界でも続くのではないかと思います。

 あと、いくら出来る事のお披露目とはいえ、あまりCGを多用すると、その瞬間、

 リアルな星空から、工学製品の展示になるんですよね(光学でもなく)。


 帰りに天文展示に飾られていた、旧型プラネタリウムに向かって、

 「おまえも結構いけてたぜ。」と声をかけたのでございました。

 
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