ヤドカリの貝殻
 
 
2020年2月
「伊予柑」

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私は果物のシーズンでちょっと精神状態が普通でなくなるものが
年2回ありまして、1つは養老の近くまではるばる買いに行って
しまう柿。
もう一つはこの2月に短いシーズンを迎える伊予柑です。
いよかんは名前の通り愛媛県の柑橘類です。
調べてみますと明治時代に発見され、愛媛県で栽培が始まった
もので、品種的には普通の温州みかんとオレンジかザボンが
交配されてできた品種だと言われていますが、
世界の他の地域では栽培されている例がなくおそらく
愛媛県で偶然誕生した品種だと思われます。

私は実は父が愛媛県出身で私の先祖は伊予に勢力を持っていた
河野水軍と言われる、まぁちょっと前までは海賊と呼ばれていた
海の武士たちだそうです。瀬戸内海の水軍と言えば村上水軍が
圧倒的に有名ですが、河野水軍は秀吉の天下統一の際に破れて、
滅亡したと言われ、父曰く負けて命からがら石井が浜と言う
海岸にたどり着き、それからは農民となったそういう
一族郎党の末裔でであったらしいです。
とは言っても私は一度も父の郷里である愛媛県の、
タオルで有名な今治市に行ったことがなく、高校の時に
まぁ1度は行って来いと言うことで親戚の家に遊びに行った
ことがあります。その際
「これ食べたことないやろ」と出されたのが伊予柑で、
何でも栽培規模が小さいために、ほとんど県内で消費されて
しまう幻の柑橘類だと言うことでした。
食べてみるとみかんの甘さに加え何とも言えない素晴らしい
香りで、
いっぺんに大好きな果物トップワンになってしまいました。

この頃みかん以外の栽培品種として、鹿児島の奄美諸島の
たんかん。静岡で新たに品種改良されたポンカンなどが
あったのですが、いずれもまだ全国的な市場には出ていなかった
時代です。
やがて1970年代後半になると、名古屋でも食べることが
出来るようになり、2月だけの味覚として見かけると買うように
しています。
ただ1個120円から200円とみかんに比べかなり高いのです。
ただしみかんも袋入りが398円とかで販売されており、
私は食べ始めると全部食べてしまうので、
いよかん一個買う方が経済的だったりします。

今回果物に定評がある近所のスーパーで興居島(ごごしま)の
伊予柑としてブランド品扱いで出ていました。
興居島は今治からは遠い松山市の沿岸に浮かぶ小さな島で、
ほとんどみかんを始めとする果物の栽培だけで成り立っている
島です。
島中に張り巡らされている運搬用の小型モノレールの写真は
見られたことがあると思いますが、
最近おそらく病害虫対策などの品種改良で、かつて感動した
いよかんの風味が少なくなってきたなぁと思っていましたが、
この興居島伊予柑はかなりそういった風味を残しており
大変気に入りました。
最近はより甘みの強い新品種に押されがちの伊予柑ですが、
柑橘類は甘いほどいいというなら、グレープフルーツに砂糖を
かけて食べればいいのです。柑橘類は香りと酸味が命。
あと半月が伊予柑のシーズンですが
来年もぜひ興居島のいよかんを楽しみたいと思っています

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