ヤドカリの貝殻
 
 
2019年8月
「日本の電器屋」

iPhone7plus
今回は諸事情で多忙なため、一点に絞って書きます。
先日、長年使い続けてきた電気剃刀の外刃の一部が割れ、
髭を噛んで痛いので、買い替えを検討しました。
でも電気剃刀って高いんですね。
で、なんとか安く上げるために外刃だけ変えられないかと思い、
交換部品を探しました。ダメモト、というより
ダメ99のもしかして1。くらいの検索でした。
ところが、なんとあったのです。
NationalのES4066は、2004年発売の製品で、2008年の
松下電器からパナソニックへの社名変更まで、4年間作り続け
られたことになります。だから私の電気剃刀は長くて15年。
短くて11年使い続けたことになります。
なんと!外替え刃のES9857はまだ販売していました。
もちろん内替え刃も。
しかもこの替え刃の発売年は2000年!つまり約20年近く
在庫があることになります。
なんでこんなことになったかというと、2000年に決定版という
べき電気剃刀の刃の部分のデザインが出来たのだと思います。
それ以来松下は髭剃りの命というべき外刃と内刃ののデザインを
変えていないのです。
この製品もデザインは随分未来的なフォルムを持っています。
デザイナーとしては、刃のデザインもいじりたいだろうと思う
でしょうが、一切変えない。こうすることにより現在に至るまで
同じ交換部品が使える。
この製品も中国に生産基盤を移したあとのものですが、
ここに松下の強い意思が働いています。
規格を統一することの合理性もありますが、替え刃を常に
必要とする人々(私よりうんと髭が濃く、すぐ刃がボロボロに
なる方々)のために常に交換部品を確保しておく。そのための
規格統一だと思います。
「替え刃が合わなくなったら、次の本体を買ってもらえるので、
どんどんデザインを変えよう!」
というのが、二枚刃だ三枚刃だと忙しい安全剃刀の世界で、
結局替え刃がなくなるとホルダーごと買い換えていた覚えがあり
ますが(それが嫌で、剃り上げたい時は100均の使い捨て
カミソリを使っている)、
パナソニックの電気剃刀なら安心。という心強さで、
2000円ほどする替え刃を喜んで買う気持ちになります。
目先に捕われない、かつての日本電機産業の矜持が感じられます。
私の電気剃刀は、これでまだ使い続けられます。
電池はダメになっており、ACでのみの使用ですが問題なしです。

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