ヤドカリの貝殻
 
 
2017年5月
「パワード バイ ジーニアス」
※今回の画像の版権はDevil Fish、けいおん!!?第3期製作夢想委員会にあります。
 無断転載を禁じます。



昨年5月4日。ゴールデンウイークの最中に、私はまさに孤軍奮闘。四面楚歌。
聖地豊郷小学校旧校舎群で開催される、けいおん!オンリー同人誌即売イベント
「桜高新入生歓迎会6じかんめ」に初サークル参加したのです。
けいおん!ファンの願い、
「けいおん!第3期」に思いを馳せ、自分なりの仮想台本を作ってみよう!
というのが発想だったのです。
けいおん!の第1期と第2期は、かきふらい先生の原作
「けいおん!1~8巻」を下敷きにした計3クールで、若干のオリジナル回は
あるものの、ほぼ原作に従った内容です。
その後映画版が発表され、これは京都アニメーションの完全オリジナル脚本で
あるものの、卒業式直前の卒業旅行。というテーマで、やはり原作の時系列を
完全に守ったものでした。
対して、もし第3期を作るとなれば、かきふらい先生の原作は、僅かに2巻。
「けいおん!HighSchool編」と
「けいおん!College編」のみなので、仮に1クールのみ製作するとして、
余りに尺の足らない結果になります。
そこで私の仮装台本では、一回の話の前半を大学編(澪、唯、律、紬が進学した
女子大での話)。後半を高校編(独り残された梓と軽音部に参加してくれた
憂、純と後輩達)という原作準拠とし、それを繋ぐサイドストーリーに、かなり
自由な発想で、その後の澪達の話(就職編とか)を綴って行く。という構成で
書いていて楽しかったのですが、ちょっと構成に凝りすぎた感もありました。
でもそれなりに満足し、手に取って読んでもらえば、必ず面白がってもらえる!
と自信を持って参加したのでした。



これがサークルカットといって、昨年の催しのパンフレットに掲載された
私の一人サークルの表題です。



こちらが、同人誌の表紙です。一般的な同人誌にならってB5版。
声優さんが手に取ってアフレコをすることを想定したサイズです。
サークルカットにも使った表紙絵は、大学編が舞台の参考にしたいと
考えた、豊郷小学校と同じヴォーリズ氏の設計になる神戸女学院の講堂。
高校編は豊郷小学校です。どちらも写真から起こしたスケッチ風です。
それなりに満足して書きましたが、今みると地味ですね。
もう一つ反省点としては、レーザープリンターブラザーHL-L2360で
B5裏表印刷したのですが、B5用紙だと裏表印刷が出来ず、全て手作業で
裏表を印刷し、ホチキス綴じしたので膨大な手間がかかり、その割に
見栄えが素人っぽい。という残念な結果でした。

結果、初年は1~4話と注釈本の5巻セットで、500円という価格で、
強気の30セット作って行ったのでしたが、結果は8セット販売という結果。
師匠と仰ぐ、らぐほのえりか先生には、
「私の最初の同人誌の販売数より多い」という、有難い励ましを頂いた
ものの(同人作家時代には鉄板の壁サークル※といわれた先生でも、
そういう時代があったのかと感慨)、やはり2017年に向けて反省点は
多かったのです。
※コミケ等で、中央の島ではなく、壁を背にした買い求める人々が並ぶ事を
前提にした位置に優先的に配置される有力人気サークル。



まず自分に出来る事は、見た目素人作のコピー本であっても(オフセット
印刷する金はないし、ページ数の少ない台本自体、むいていない)、
出来るだけ見た目を良くする事。
そのために、まずサイズをA5版にスケールダウンする。
これで、HL-L2360の自動裏表印刷が使えるため、作業効率が大幅にアップ
するとともに、A4を二つ折りした紙を、さらに昨年導入した絵師御用達、
唯一の顔料インク廉価プリンター”エプソンPX-105”で表紙絵、裏表紙絵を
カラー印刷してくるみ、中央をホチキス止めする。
同じサイズのA4紙を十数枚折る訳ですから、当然真ん中になるほど端が
飛び出す。それをカッターで裁断する。という実際の中綴じ製本と同じ
行程をとりました。
新兵器がこれです。
カッターはカール製の回転刃で、10枚程度のコピー用紙の裁断が可能。
1980円くらいだった。
ホチキスは、針発射部が90度回転するもので、A5版の少ページ綴じなら
充分。ダイソーで100円。



絵も自分で描いてみました。就職した澪。自分なりに味があって好きなの
ですが、これでは売り物になりません(笑)。



大学生になり、バイトに精出す梓。これも玄人うけしそうですが(笑)。思わず
手に取ってもらえるクオリティではありません。
なんとか絵師さんに参加願えないか?
昨年の参加の際も、精力的に名刺を配ったり、サンプルを渡したりして、
「一緒にやりたい」という絵師さんが出るのを期待しましたが、所詮みな
それぞれのサークルで頑張っておられる方々ですので、そんな申し出も
あるはずもなし。

ところが、光は思わぬところから、私を照らしてくれたのです。
昨年暮れ頃、同僚の若い方が、私の痛カブを見て、
「けいおん!お好きなんですね」と言われて、アニメの話で盛り上がったの
ですが、話を進めるうちに、実は好きで漫画を書いている方である事がわかり、
これは天啓とお願いした所(ギャラはないけど、借金は背わせない旨強調(笑))、
けいおん!のファンでは特にないけれど、スキルアップのために参加いただける
とのこと!
欣喜雀躍!でありました。



で、さっと書いてくれたのが、このサークルカット。
もう、天才かよ?と思いましたね。



2017年度の参加表明をし、新パンフの”昨年のレポート”のカットにこの絵を
投稿したわたしの心中は、今年こそは捲土重来の思いとともに、
「今年は強力な絵師殿の合力を得、それがし負ける気がし申さん」との思い
で一杯でした。あとは自分の文章を頑張るだけ。



サークルカットに着色をお願いし、さらに黒板(表側にもあるロゴなので)を
アニメのCM前後に差し込まれるカセットテープをリスペクトして
裏表紙の完成。素晴らしい仕上がりだと思います。



昨年の1-4巻はA5サイズに新装するため、表紙絵をかいて頂きました。
大学で暮らす4人と、高校に残る梓の心の絆。一見同じ場所に居る様に見え
ながら隔てる壁。でもスマホ(一期の頃はガラケーだった…)でつながる5人。
という神構図。全体のまとまりと、距離感を感じさせる微妙な隔たり。
この辺が絵師さんの才能だと思います。
サークルカットに比べ5人が、よりけいおん!ファンの思うキャラに近づいて
いる事は、感じていただけると思います。この辺は、
頑固で、
独断的で、
しかるに気まぐれ
という、最悪のプロデューサーの資質を十二分に備えた私との入念な
ディスカッションが主にラインで戦われた成果であります(困ったおじいさんに
つきあわせてしまい、本当にすみませんでした(感謝))。



出来上がった一話の2016年版と、2017年版の比較。
あなたならどちらを手にしますか?(言わずもがな(笑))



絵師さんの才能を感じていただける例ですが、これが私の提示した
「こんな感じはどう?」というラフスケッチ。
お兄ちゃん大好きな鈴木純が、兄淳と街を歩く姿。



仕上がりはこうです。私が一番大好きな絵にしてくださいました。
お兄ちゃんが輪郭だけなのは、私のリクエスト。
「けいおん!ファンにとって男は透明人間でよい(笑)」
上のラフは、けいおん10周年(かきふらい先生の雑誌初掲載から)の
お祝いツイッターで投稿し
「このへたな絵が、絵師さんの手でどう仕上がるか、豊郷に見にきて下さい」
とアオリに使いましたとも(笑)。



後輩キャラの斎藤菫。さわ子先生が作ったメイド衣装を着て、ケーキを慎重に
切り分ける図。菫の姿はハイスクール編に少ししかなく、キャラ付けに
苦慮しましたが
「白人だから、金髪青い目で」という私の指定だけでここまで仕上げる実力には
ほとほと感心いたしました。脱帽です。脱毛は困ります。



これも大好きな絵。今回の5話~8話では、琴吹紬という、けいおん!キャラの
中で唯一大財閥の一人娘で、先々父の後を継いで経営の道に入らねばならない
彼女の苦悩を中心に据えていますが、そんな彼女が、教会オルガニストという、
並立した道を見いだすストーリーが導入されます。この辺は、昨秋神戸女学院を
見学させていただいた経験が強く反映されています。
途中から、紬の絵を入れよう!と強引に方針転換でねじ込んだ、宮崎駿ばりの
問題爺のリクエストに短期間で応えてくれた絵師さんには感謝しかありません。
空想の中の、紬先生と眠る4人の園児。思い出の写真の様に夕日を浴びて
フォトフレームに収まっています。
夕日を受けて眠る姿は、けいおん!ファンなら、当然思い当たられると
思いますが、二期での最後の学園祭コンサートの後、泣きつかれて眠る
部員の姿をリスペクトしていただきました。



最後に問題作。原作にある、平沢唯がある日突然真面目に変身する話。今回は
「知恵熱」という題で掲載しましたが、この世界を絵にしたら?という中で、
「写真を半分破くと、別の人格が現れる」という設定になりました。
書いてる間に、だんだん怖い感じになってしまった。との事ですが、
能天気で、のんびり、ぼんやりの唯と、名門高校、大学に短期間の受験勉強で
合格してしまい、一度聞いたギターフレーズを再現してしまう、脅威の集中力を
持つ唯の二面性が旨く出た作品だと思います。
実は、今回表紙絵をプリントアウトしてミニ色紙にして販売したのですが、
この絵が一番早く売れたのには驚きました(お判りいただけた!)。
ちなみに、ただの写真にせず、学生証仕立てにしたのは、私の大手柄です
(自画自賛とはこのこと(笑))。

今回の実績は、新刊4話各15冊と、既刊4話各10冊。計100冊を完売!
お二人の方の注文で、帰宅後増刷して発送(ちゃんと届いたでしょうか?届いて
居なければメールください)。と言う事で大成功でした。
まあ印刷費用(インク代高い!今後互換インクに切り替え予定)と
参加費・交通費を差し引くと、当然の様に赤字ですが、
この達成感は何にも換えられないです!
ツイッターでせっせと告知したり、昨年売れ残ったのをこっそり誕生会の
プレゼントに混ぜて宣伝したり(すみませんでした)出来るだけはやりました
が、やはり何と言っても絵師さん。と言うより、
もうDevil Fish先生と申し上げた方がいいと思いますが、
本当に美しいイラストの持つ力の偉大さを痛感しました。
そしてディスカッションを綿密に重ねて、文章と絵が完全にシンクロしたから
こその成果だと思います。本当に有難い事です。
一緒に仕事出来て良かった!

来年の9話~12話(最終話)のアイデアは既に伝達済みで、今度はある程度
自由に描いていただき、それにインスパイアされて私が文章を書く。
と言う事もやってみたいと思います。
よろしくおつきあい願います。

※版権保護のため、あえて低画質で掲載しています。
※今回の同人誌の地方発送承ります。メールでお問い合わせください。
 belushi@mac.com











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