ミニ四駆ページ開設記念論文  
「なぜおじさん達はミニ四駆にはまるか?」


2.ミニ四駆は熟練を必要としない

激しいブーイングが聞こえてきそうだが、「行って来い」系の娯楽はかなり
熟練を要することは明かであるので、比較の問題としてミニ四駆はやさしいのだ
陶芸家の傑作は決して偶然だけでは生まれない
炉の中へ「行って来い」で出来上がる陶芸は、実は陶土を探し当てて、何十年も
寝かし、ろくろと格闘し、釉薬を研究し、認められる作家になるには大変な
努力が必要なのである
ま、そんな大層な世界と比較してもしかたないが
例えばモデラーの世界と比較してもそのらくちんさは明かである
ミニ四駆で早く走るのにはコンディションにあった車づくりだけが肝心で
どういう美しい仕上がりであるかはほとんど関係ない(空力上多少あるかも
知れないが・・・)

昔の「行って来い」系娯楽は結構技術を要する物が多かった
例えばゴムでプロペラを回す、今で言うライトプレーン
竹ひごを炙って曲げ、和紙を丁寧に貼り・・・不器用な私の少年時代には
一度だけ買って、説明書を読んで、袋のまま置いてある、という記憶しかない
しかし、自分なりの力学理論に従い、パーツを付け替えて、コースアウトせずに
コーナーを回り抜けたとき、実際には技術的には大したことはしていないのだが
貴方は息子・娘の尊敬のまなざしを得ることになる

凧上げの達人だった父は、糸の角度やしっぽの長さを工夫し、どんどん凧をあげ、
やがて凧糸がなくなるまであげてしまい、幼い私に硬貨を握らせて
「糸を買って来い」と命じた
その時の、店に走る私の誇らしい気持ちを、今、我が子に抱かせるのは難しい
なぜならそういう器用さ、熟練の手業を私は持ち合わせていないから・・・
(ファミコンでさえ、もうすぐ勝てなくなるだろう)
しかし、ミニ四駆は比較的容易にこれを実現することができる
今不器用な私の出来る事で、子供たちの尊敬を集めているのは、粗雑な仕上がり
にもかかわらず、効果のある「肉抜き」なのである

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