ミニ四駆ページ開設記念論文  
「なぜおじさん達はミニ四駆にはまるか?」

1.ミニ四駆は「行って来い」系娯楽の王者である


現在の娯楽のパターンの主流は、いたれりつくせり、全て準備が出来ており
その中でベストを尽くすことで達成感を感じるという系統のものが大変多い
例えばTVゲームではシュミレーション系を除けば、殆どゲームデザイナーの
設定してくれた世界にどっぷりはまり、反射神経や推理力や応用力を尽くして
クリヤする歓びを得るために全力集中する
楽器を演奏すると言うことを飛ばしてカラオケで楽しむのも良く似ているし
プリクラなど完全に決められたフォーマットを楽しむ娯楽だろう
これはこれで楽しいのだが、娯楽には実はもっと別種の世界もあるのだ

例えば、どうしたら良く飛ぶ紙飛行機が折れるか?このことは、一度は
みな考え、クリップをつけたり、いろいろ工夫をした経験があるのでは
ないか?幼い頃砂場に山を作り、溝を掘って水を流し、流れる方向を
コントロールすることに熱中したことはないか?
あるいはコンピュータの創生期にベーシックのコマンドを打ち込んで
画面に円を描かせて、感動した人も多かったと思う
(この楽しみは今はHTMLファィル書きや、もっと専門的な言語による
フリーソフトウェア開発に受け継がれていると思うが、一般受けは難しい)

この手の娯楽の共通点は、様々な工夫を凝らし、部品・部分を取り替えたり
改造したり、苦労して作り上げた後、実際にはじまれば何の手の施しようも
ないことである。つまり「行って来い」である
生み出される結果を良くするために、必死で思案しデバッグする作業を繰り返し
少しでも良い結果が出るよう延々努力する
現在ではDTM=デスクトップミュージックの世界で打ち込みと言われる作業が
近いかもしれないが、最近のシーケンスソフトはお利口で、途中で確認の試奏が
できるので、純粋な「行って来い」とは言えないかも知れない
この「行って来い」系のカタルシスは例えばプロデューサー、ラグビーの監督
(ベンチに入ることが許されない)、レーシングチームの監督、競馬の調教師
、スキーのワックスクルーなどの人々に許されている楽しみで、一般的には
こういう娯楽は意外と少ないのである

ラジコンとミニ四駆を比較したとき、この事は明かである
私はラジコンはやったことがないので、えらそうには言えないが、例えば自動車の
ラジコンの場合、ミニ四駆と同じ様に部品を組み合わせる楽しみ、セッティングの
妙などがあるだろう事は容易に予測できるが、勿論レースで良い結果を出すには
「プロポさばき」が熟練していなければならない
その点ミニ四駆は、一旦コースにあった最高の組み合わせ、最高のセッティングが
出来てしまえば、スタートラインに置くのは幼稚園児でも同じである

同種の娯楽の中でもとりわけピュアーに「行って来い」であるミニ四駆は
まさにこの系統の娯楽の王道を行くと行って良いだろう
イチロー選手本人の歓びではなく、彼のお父さんの歓びがそこにある

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