ミニ四駆コラム

29.マックスブレイカー試作記

    「エアロミニ四駆シリーズ」第1弾のマックスブレイカー
    を、ミニ四駆仲間のご厚意でなんとか手に入れることができましたので
    説明書のとおりに、とりあえず作ってみました
    と、言ってもモーターとシャーシのブレークインはしっかりしています

    そのほかはキットにある部品だけで、組み上げています
    このキットの特徴は何と言っても新開発の「スーパーxシャーシ」ですが
    ボディその他にも相当の改良が見られますので、とりあえずそのあたりから
    気づいた点をチェックしていきます
    まず、マグナム・ソニック系の弱点だったボディ先端のパーツの脱落は
    今回一回転してはめ込む形式に改良され、大丈夫になりました
    ここのパーツをなぜわざわざはめ込み式にするのか、実は私はよく
    知らないのですが、これで前部の脱落したボディで走らせる事はないと思います
    あと、ステッカーの仕上げもなかなかよく、マグナム・ソニック系では
    サイクロンマグナムTRFについで、好ましいデザインとなっています
    ウィングは低く後ろに張り出しており、面積も相当あるのですが
    実際にすべてを組み上げてみると、なんとリアステイをほぼ隠してしまうのです

    私が、リアステイを嫌いな理由の一つに、プロポーションを損なうというのが
    あるのですが、これならばとても上品です
    というわけで、私にとっては久々に合格を出せるデザインでした
    一文字何とかという小汚い小僧のマシンにしてはしゃれています
    (まだ星場兄弟からのシフトは違和感がありますわ)
    さていよいよスーパーXシャーシについてですが、前部は大幅に強化され
    電池位置も一段と低くなり、電池止めも楽で確実、モーターが裏から
    脱着できるなど、優れた改良が多い良いシャーシだと思います

    走らせる前の印象では、低学年児童のために、かなりがんばった印象です
    TZのモーターマウント脱着の固さは、低学年には絶望的な物がありました
    また、スイッチもカチッと確実に入る感じで、曲線の溝を走るタイプなので
    力もいらなくなりました
    ネジの入りの具合は、TZよりも心なしか楽に思えますが、まだまだ・・・
    ま、これに関しては、乾電池式の超小型電動アシストドライバーを田宮が
    出して欲しいですね(パワーステアリングや、ヤマハパスのような感じの)
    さて、話がそれましたが、後の大きな違いは後部のクラウンギアと普通のギアが
    両車輪側にそれぞれ配置されている事で、これがどういう効果を生むかは
    まだ、わかりませんが、考えのあってのことと思います
    抵抗は減るかもしれませんし、車軸のねじれを軽減するかも知れませんが
    走らせてみないと結果は分からないです
    タイヤ・ホイールは前後全く同じ物を使い、ワイドトレッドです
    現在の主流は大径で、前輪のタイヤ・ホイールを4個使って、抵抗を減らしつつ
    直進能力を稼ぐと言うことですが、大径は腰高になるため、ベアリングの
    設定が結構シビアで、最近の田宮公認レースのシビアなコース設計では
    小径の方が有利ではないか?と言うのはGJCあたりからささやかれてきました
    (つまり大径はタイムアタックではいいタイムは出せても、振動の多い
     レースでは思わぬコースアウトを引き起こしがちであると言うこと)
    しかし、小径は絶対スピードの不足がネックになっていました
    その回答がこのシャーシなのでしょう
    1:3.5の超速ギア(ただしベアリングはなし)が標準装備もうれしいです

    実際完全なキット仕様にも関わらず、スピードチェッカー上では
    アトミックで軽く23-24km/hを叩き出していました
    ベアリングをつければ、25-26km/hは行くでしょう

    これは私のような中級者には大径に匹敵する値で(上級者は大径だと30km/h)
    これでGUPパーツなしなら、従来のS1やTZでは飛び出してしまいます
    しかし、このキットはワイドトレッドとワイドタイヤ
    さらに前に16cmのゴム付き、後ろに13cmのプラローラーを装備していて
    しかも、このローラーの精度が大変よく、ノングリスで元気に
    回ってくれますので、コースアウトしにくいかと思います
    ただ、前輪まで同じワイドタイヤというのは、少し解せません
    回頭性が損なわれるのではないでしょうか?
    従来のシャーシが「不安定な走行をいかに安定させるか」であったのに対して
    今度のは「安定しすぎるシャーシをいかに不安定にして速く回るか」だと
    思います
    それからブレークインはかなりしないとうまく回らない点は
    TZと対照にあると思います(まるで第一世代のように粉がでる)
    子供たちにブレークインが常識になりつつあるために
    わざわざブレークインで差がでるように作ったのでしょうか?
    ほかの部分の完璧な精度からすると、そうとしか思えません
    あと、特筆すべきはリアステイで、2箇所のネジ止めに改められ
    ステイ自体はふにゃふにゃですが、ネジ止めすると大変しっかりしています
    このステイは前述のようにウイングに隠れるほど小さいので
    ハイマウント派の人も、モノレール現象(ハイマウントのリアローラー部が
    コースの壁に乗り上げること→下部に不細工なステイを取り付けて防ぐ場合が
    多い)対策にいいと思います
    次期メダル王もこのシャーシになりそうです
    ただ、このリアステイ取り付け部のネジ止め部分が割れる可能性があります
    なにか補強が必要です(今までだとステイが折れたが、今回はシャーシが心配)
    タイヤや駆動関係のGUPパーツは互換性がありません
    ターミナルもモーター部はTZ用にそっくりですが、スイッチ部は独特の曲げや
    切れ込みがあり、流用不可です
    つまり、その辺の日経読んでるおやじの言いそうな言い方で言えば
    「インフラが生かせない新型シャーシ」です(^_^)
    さて、実際に走らせてみると、確かに安定しており、レーンチェンジでも
    全く浮くことがありません
    速度も、プラローラーと鳩目で作った物としては、大変いいレベルにあります
    しかし、これから本当に速いチューニングを目指すときに、今までのノウハウが
    どの程度通用するかはやってみないとわかりません
    ともあれ、スロープなどを取り入れた難コースのレースなどで、コースアウト続出の
    チューニング車をしり目に、キットを組んだだけのこのマシンが勝ってしまう光景も
    見られるかも知れないと思うと愉快です

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