ミニ四駆コラム


27.ボルテックファイターの示すもの

  コロコロコミック11月号のミニ四ファィターVを読んだミニ四駆ファンの
  中には、このミニ四キッドと同じ声を上げた人も少なくなかったのでは
  ないか?キッドの問をファィターは笑い飛ばして、新しいRCボーイズ四駆
  レーサーシリーズは、ミニ四駆レーサーの為の規格であり、随所にミニ四駆
  との共通点があり、「新しい世界」を目指すものだという説明をしている
  私はRCの経験が皆無なので、今度のシリーズがどれほどの位置を、RC界で
  示すのかは、良くわからない
  部品点数を減らし、低価格で楽しんで貰うと同時に、奥の深いRCの様々な
  部品やノウハウも生かすことが出来る、と言うことは何となく理解できるし
  今までの常識を覆す入門キットであり、四駆レーサーというオンロードと
  オフロードの両面を持つ新しい楽しみも満喫できるだろうと言うことは
  理解できる
  しかし、やっぱりこれはRCだし、「行って来い」のミニ四駆ではなく、
  「プロポさばき」に楽しみを見いだすカテゴリーである
  たぶん、今までも「サイクロンマグナム」とかミニ四駆のデザインだけを
  流用したりして、ミニ四駆ファンをRCの世界に誘うような行動をタミヤは
  とってきた、例えば、ミニ四駆の事を知ろうとタミヤのテレビ番組をみれば
  嫌でもRCの情報満載である
  にもかかわらず、今までRCとミニ四駆に棲み分けが存在したのは
  言うまでもなく、価格であった
  桁が1つ違うので、小学生に手の出る物ではなかった
  中学になり、ミニ四駆は卒業、なんて子に是非ともRCをやってもらいたい
  と、思っても、中学生にも、高校生にだって(バイト命の子はいいけど)
  今までRCは現実的な価格では無かった
  今度のシリーズに19800円、プロポ・充電器・電池込みという相当思い切った
  価格をタミヤが提示した事に、このシリーズにほとんど社運をかけている
  意気込みを感じてしまう
  19800円はジャパンカップJr.サーキットの定価、ホームコースではないのに
  これが、案外売れている、この価格なら・・・と設定したのであろう
  企画段階で、「その値段では無理だ」と言われてずいぶんもめたのでは
  ないだろうか?そういう意味では良くやったと言いたい
  しかし、例えばコロコロコミックで取り上げている様々な玩具で、とびきり
  高価なこのシリーズはブレイクすることが出来るのだろうか?
  勝負はこのクリスマスだろう、あんなでかい箱、サンタさんも気の毒だ・・・
  とりあえず、タミヤの思惑とは別に、初期のこのシリーズの支持層は
  おやじだろうと言うことは想像できる
  RC専門店には敷居が高かったミニ四駆おやじたちも、行きつけの店で購入できる
  なによりも「ま、ミニ四駆とは違うけどね、どんなもんかと思ってね」という
  言い訳で1万ん千円を出すことが出来るのは30-40台のおやじだろう

  と、言うわけで私も作ってみた(やっぱし)
  土曜の深夜、妻子の寝静まるのを待ち、ごそごそと箱から取り出して・・・
  1.確かに簡単に出来る、取説もまあ親切、2時間ほどで完成、したはずが
   一番最初に付けたボディ止めを、後ろでなく前に付けたため(この
   シリーズでは前はミニ四駆と全く同じボディの止めかただが、シャーシは
   汎用性を持たせるため前・後部とも同じほぞがあり間違えた)無駄なねじ回し
   作業を20個分ほど余計にしたので、2時間は越えた
   ま、ミニ四駆を作りなれている人なら、構造が似ているだけに楽だと思う
   前にマルイのボール盤を作ったときには、今組み立てている部品が何かが
   わからなかったため、不安だったし、失敗も多かったが、これはどんどん
   理解しながら組上がっていく
   子供にも、ネジの規格が3種類ぐらいしか無く、六角の頭をしているため
   添付の十字レンチで締め込めるので、ネジ穴を潰さないですむ配慮も良い
  2.でかい、重い、走らせる場所が少ない
   RCは屋外で走らせるとあとのメンテが大変で、このシリーズはオフロード
   用にしては密閉性がいまいち、という話を聞くので、風の少ない日に
   車のない駐車場で・・・とか、そんな感じだろうか?
   部品のコストを下げるため、というのはよくわかるのだが、もう少し
   小さくても良いのでは?大きいのでメンテはしやすいとは思うが・・・
  3.実際に走らせてみると、確かにおもしろい
   くるくるよく回ってくれるし、ブレーキがきゅっとかかる感じも新鮮
   RCのおもしろさをよく楽しめたし、四駆ならではの走破性の良さも
   感じる
   あと、当然初プロポの私は壁とかにがんがんぶつかるが、頑丈さは
   ミニ四駆の比ではない、独立して軟質な素材で作られたバンパーなどは
   ミニ四駆にも採用して欲しい
  4.ミニ四駆との類似性、相違点
   シャーシのデザインなどはSTZシャーシに似せてある、特にバッテリー蓋止め
   の部品は大笑い、ミニ四駆のボディキャッチそっくりで、「あのう・・・
   ボディキャッチ落としませんでした?」とコースで人に見せると爆笑だろう
   ボディのデザインを敢えて既存の物でなく、青木氏の新デザインとしたのは
   「ミニ四ファィターV」打ち切りで「ボルテックファィター」連載開始か?
   違和感のあったドライバー人形搭載だが、これがミニ四駆レーサーからの
   転身組への優しいリハビリ用であることは、やってみて解った
   プロポの右左はドライバーの目が基準であり、向こうから自分の方に
   やってくるRCを右に曲げるときは左にレバーを曲げなければならない
   この事を体感するためのドライバー搭載だと思う、納得
 
結論 私はミニ四駆をやめて、この遊びにのめり込むことは無いだろう
   これは別種の遊びである
   でもずいぶんおもしろいとは思うし、一応本格的なものなので
   RCの世界を見ることが出来て嬉しい
   ミニ四駆のオフの時にも、持っていって先輩諸兄のもっと凄いRCと
   競争ごっこも可能だろう、一回り大きいモーターに載せ換えたり
   フルベアリング化したりすれば、テクニカルコースなら、あとは
   プロポさばきが勝負だろうし・・・一応ミニ四駆界ではこっちが正規
   凄いRCは「外道」になるわけだし(ははは)
   しかし、タミヤのミニ四駆ファンのRCへの誘導衝動は良く解るのだが
   私はタミヤはかならず、21世紀のGPチップ搭載のミニ四駆を出してくれると
   信じているので、こんな所で寄り道をしていては、困る
   まして、「新しい世界」などと純粋な子供たちを迷わせないで欲しい
   「たかーい別の遊びー」である、もし実勢1万を切れば大ブレークの可能性も
   あるが・・・ポケモンに勝てるかな?
   大人達がけた違いの高い部品を買い集めて絶望に陥れなければ、小中学生の
   高級ホビーとして、定着するかもしれない、いいレギュレーションが出来て
   欲しい
   ミニ四駆とRCの正常な収斂は、今のままでRCユニットを積むだけでいい
   考えても見て欲しい、ミニ四駆はコースを飛び出す日が来るまでは、
   操舵機構はいらないし、バックやブレーキも必要ない
   速度が調節できれば、いやボタン一発で一瞬モーターへ電気が行かなければ
   カーブ攻略が恐ろしく高い次元になるのだ
   「スローイン・ファーストアウト」が実現できれば、美観を損ねるローラー
   類をずいぶん整理でき「烈&豪」の世界に一歩近づくことが可能である

   

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