ささやか写真館


 2004年1月

                題名「三尺坊大権現」
  

                             Summicron 50mm F2.0

   年が明けて、「初散歩」しようと思い、どうせなら人々が初詣というものを
  する神社とかお寺に行けばおもしろかろうと、異教徒の私が、午前0時過ぎに
  出かけることにしました。
  私の住んでいる地域は、もともと農村で、氏神を祀った神社があります。
  歴史の中で伊勢神道のヒエラルキーに組み込まれ、「何とかの命」を奉った神社に
  なっていますが、元々は村落の豊穣を祈った氏神であるはずです。
  もとお百姓の地元民の氏子は、今は地主で金持ちなので、今はやたらに立派な神社に
  なっておりますが、元々は(1996.10月にも書きましたが)素朴な山の社で
  子供の頃は大好きな場所でした。
   さて、出かけてみると、いるわいるわ。まあ手近な神社で間に合わせようと
  いうのか、やたらに大勢の人出です。千人位いたんとちゃうやろか?
  みんな今年がいい年になるように。。。と願っているんでしょうね。
  暗い話題ばっかですからねえ。
  神社側も気合いが入っていて、太鼓の一座を呼んだりして(これがなかなか上手
  おひねりを投げる人が一人もいないのが、粋じゃないね、田舎もんばかり。
  ま、私も投げませんでしたが)、屋台まで出て、賑わっておりました。
  取りあえず神社を離れ、その上にあるもう一つの神社と言うかお寺というか
  地元の衆が「秋葉山」と呼んでいる所に登りました。
  ここは静岡にある「秋葉山」の分山で、「三尺坊大権現」を祀った神社です。
  江戸時代までは神社と寺の区別は曖昧で「秋葉寺」とも「秋葉神社」とも言われて
  いたそうですが、
  「秋葉山の守護神は三尺坊大権現と呼ばれ、観音菩薩の垂迹として信州に生まれ、
  越後国蔵王堂の三尺坊で修行して、飛行自在の神通力により、白狐に乗って秋葉山へ
  飛来した。また、三尺坊は三尺しかない小人であったとする伝承もある。
  背の低い人=低人(ヒキヒト)が、水神である蟇と重なり、火を防ぐ神となったとも
  考えられる。」だそうです。
  と言うことで、神仏習合のなかで、仏が神の形で現れると言うことを権現とか明神
  と言うわけで、秀吉は大明神、家康は大権現と呼ばれた訳ですね。
  火事を防ぐ神と言うわけで、日本中の寺や神社にも祀られたため、全国に秋葉山は
  あるのですが、ここのはかなり本格で、修験者もよく訪れ、子供の時には「火渡り」
  の神事もよく行われていました。(今もやってるのかな?) また名古屋場所の時
  相撲部屋が来る所でもあります。(2000年7月)
  どちらかと言えば、おそらく江戸の頃はこちらの方が盛んで、麓の神社は産土神の
  ような扱いではなかったのでしょうか?地元の小学校のある地名が「向の山」で、
  これは秋葉山に向き合うようにあるからだと考えられます。
  初詣の客も少な目でしたが、甘酒が振る舞われ、豪勢な焚き火をしておりました。
  小学生の時、ここの境内でキャンプをしたことなど思い出されて、
  懐かしい気持ちになりました。火はいいですね。神聖な気持ちになります。
  カメラを持ってこなかった私は、急いで家に戻り、M3を取ってきました。
  今年一年、この火のように元気に暮らせるように、お賽銭を出さない異教徒の私も
  甘酒には「お志10円也」をさせていただいたのでした(けちだね)。

   
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