ささやか写真館


   2002年11月

                題名「デジカメに変えない理由」

  
               
                                   RE Topcor 25mm/3.5

    
   生活はちっとも楽にはなってないのですが、新製品が出るとついむらむらとしてしまいます。
  パナソニックから出たデジカメで、35mmカメラで換算して35mmから420mm!という光学
  ズームを全2.8の明るさで実現したものが登場し、200万画素の小さなCCDだから、レンズ径を
  小さくできて、軽量小型、というコンセプトは大変理にかなっています。
  「もう、これだけ買って後のカメラは処分しちゃおかな?」と思ったりしました。
  このデジカメはレンズ設計がライカなのも気になるところです。実勢価格も55,000円ぐらいなので
  このデジカメは欲しいなーと思うのですが、ま、先立つものなど宝くじに当たらない限り
  望むべくもないのと、作例を見ても、望遠側のまずまずのぼけに比べて、広角側はパンフォーカス
  な、いかにもデジカメな写真になっており、やはり、今持っている2つの銀塩システムを
  手放してまで…、と思い詰めさせるものがありません。
  私はもしお金があっても、高級一眼デジカメを買うことはまずないと思います。こういうのが
  欲しいのは、商業写真家か報道機関、つまり従来のレンズ資産を生かしたい人々で、
  出版レベルの画質をすぐにみたい現場です。アマチュアが無理して買うものではないと思います。
  オスカー・バルナックが35mmの映画用フィルムを使った初めてのライカを発表したとき、
  乾板を使った大判の写真機に、これが取って代わるとは誰も思いませんでした。取って代わった
  とも言えますし、そうでないとも言えます。大判・中版は、今もプロの現場で使われています。
  筐体もレンズも小さくできるからとにかく軽くてハンディ。デジカメならもっと小さくできます。
  だから、デジカメはいたずらに35mmを追いかけないで、画素数は200-300万画素でいいから
  せっかくAPSで作りかけた小口径レンズ設計を、生かさない手はないと思います。
  高くて歩留まりの悪い35mmフィルムサイズCCDの開発に狂奔するなら、デジカメは銀塩とは
  別の発展をしてほしいと思います。そういう意味で、この松下のデジカメは、気になるのです。
  例によって、デザイナーは銀塩カメラを意識しすぎですが、意識しまいとして訳のわからない
  デザインにどんどん進化している、ソニーのデジカメよりは好感がもてます。
  今回の写真は、このレンズのぎりぎり接写範囲を試したもので、トプコンの良さを十分出した
  今のデジカメには無理な絵です。写っているのは、私のカメラバッグにつけている
  「ガチャポン」で出したマスコットでアザラシに喰われて、半分溶けかかり、すっかり観念して
  いるぷーさんです(違うかも…)。ぼけの階調がなめらかで、金属や樹脂の質感が美しい
  トプコンレンズの美しさは、出すことが出来たと思います。
  レンズ先端から数センチしか離れていない場所でとりましたので、うっかりポジでは暗く
  なってしまいました。いつものフィルムスキャナーでは暗すぎたので、友人のニコンのデジカメを
  借りてスキャンしました。ニコンのデジカメはポジ用透過アダプターが別売されており、
  これをレンズにつける頃により、明るさを自分で自在にコントロールできます。
  (何しろ光源=太陽・電灯にどういう角度で「透かす」か?だけですから…。)
  これで、ニコンのデジカメも欲しくなりましたけど、ポジの露出に失敗しなければいらないの
  で、こちらは、失敗しないよう気をつけて、もし露出暗すぎるけど捨てがたいのがあったら、
  友人に借りようと思っています。ちょっと気にかかるのは、どうも私の好みの絵が、むしろ
  露出暗すぎのポジに多いような気がすることですが、気のせいでしょうか…。
  
   
             |ベルーシホームページに戻る|
              |ささやか写真館に戻る|