ささやか写真館
2002年10月
題名「望遠の愉悦」
RE Topcor 200mm/5.6
一時はサンニッパ(300mm/2.8)も持っていた私ですが、今一番長い玉は200mmです。
この辺の暗い玉は200にしろ135にしろ、どのマウントのものも二束三文ですね。
1万円台とか…。でも考えてみれば、こんな長いレンズを使うのは室内では無理だし、動きの激しい
アイドルの一瞬や、赤い跳ね馬と靴作り(のドイツ語)がつまらなくしたF1を撮る趣味はないので、
せいぜい1/125秒でいいので、日中の室外なら、むしろこういう軽い玉は楽でいいです。やはり
こういうのを持って町に出ると、いいですよね、相手はあまり撮られている意識がなくて…。
このレンズは一番開けないとぼけない、深度の深いレンズで、この日は曇りで1/125で固定でしたので
この写真はたぶん8ぐらいだったと思うのですが、開放の5.6にしないとあまりぼけません。
ぼけの美しさを楽しむ傾向の強い望遠単レンズの、最近の傾向からいうとつまらないレンズですね。
でも「見えるものはすべて記録する。」という帝国陸軍御用達の東京光学製だと考えれば、これほど
素性の正しいレンズもないんですよね。
名古屋に現れた桑田の「ロックンロールヒーロー」トラック(この歌、すごいですよね。この歌詞は
久しぶりのメッセージソングだと感動しました)。を慌てて撮ったのですが、当然ピントはトラックに
来てますよね。トラックの上の木々はぼけてますが輪郭を保ってます。偶然入った手前のおじさん
(あくび?)も前ぼけが少ないです。立体感はかなりあって、パンフォーカスにありがちな、ばりばりの
平板さはないです。結構お忍び撮影にはいいレンズで、公開は出来ないですが、顔の表情がはっきり
写った写真など、どこのどなたかは存じ上げない、街の人々のそれぞれの人生が垣間見えて楽しいです。
花や風景や静物(!)を写しているより、よっぽどおもしろいです。
25、50(58)、100、200mmと、倍数で持っているトプコールの中でも、このレンズは真面目さが
目的にあっているので、持ってて良かったと思っています。
今度、機会があったら、400のフィルムでも入れて、ホームレスのおじさんたちを、生活を犯さない
程度の距離で写してみたいと思います。昔なら金持ちの嫌みな好奇心でしかないですが、今の私には
彼らの暮らしとの距離感はあまりないですから…。
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