ささやか写真館
2001年10月
題名「This is 135mm!」
Hector 135mm/4.5
ライカのレンズの中で「お得な3兄弟」というのがありまして、50mmのSummitar
90mmのElmar、そして135mmのHectorの事です。これは全部3万円位で買えるレンズで
物欲全盛期の私は全部持っていたものです(^_^)。安いと言うことは、一つは大変沢山生産
されたレンズであって珍しくもないということと、もう一つは新型のレンズにとって代わら
れた。と言うことです。Summitar50、Elmar90はSummicronに、そしてHector135は
1眼レフカメラのレンズたちに。値段が安い事を説明するため、「駄目なレンズだったから」
と言う人もいますが、それはとんだ大馬鹿です。この3本とも大量に作られたと言うことは
大変評価されていたからであり、もっと駄目で生産がうち切られ、プレミアがついて
高値を呼んでいるレンズは他にあります。3本とも良いレンズですので、買って損はあり
ません。さて本題の135mmですが、ライカのレンジファインダーではM3がかろうじて
この倍率をカバーします。そのためM3のファインダーは35mmをそのままではカバー
しません。一方M2は35mmのために135mmを捨てました。その後のライカもこれに
倣いました(だからHector135が安いとも言えます)。これは正解でしょう。だって、
M3で見る135mmの画角は、ファインダーの縦横、約1/3の所に描かれた四角の中だけが
フィルムに焼き付けられるのですから。←ここをクリックしてね。青いところは実際には
風景が見えていますが、そこはフィルムには焼かれないわけです。こののぞき窓の様な
エリアがいっぱいに引き延ばされた時のことを、想像しながら写すわけです。これでは
ファインダーいっぱいに、後で焼かれる画像が望遠で広がる1眼レフに駆逐されるわけで
一切コストダウンの無いM3を最後に、その後のライカが135mmを捨てたのも止む終えない
と言えるでしょう。では、M3の135mmはつまんないでしょうか?それがそうでも無いの
ですね。1眼レフの望遠で被写体を探すのは、双眼鏡を目に当てたまま歩くのに似ています。
ズームになってからは広角側で被写体を探し、望遠にアップしてと言う作業になりますが、
これとて、ズームの双眼鏡を目に当てて歩くようなもんです。M3の135mmは等倍に極めて
近いファインダーで被写体を取り巻く風景ごと見つめながら、その中のある部分を
「切り取る」様に撮ります。この写真の周囲がどうなっていたかは、写した私には
記憶があるわけです。135mmという、今ではふつうの標準ズームが当たり前にカバーする
中途半端な画角が、M3では新鮮な画角になります。秋晴れの休日(いわゆる125/11の
天気)。おなじみの公園に集う人々を撮るとき、135mmの距離は、相手に気づかれずに写せ
るほど高倍率ではなく、かといって「撮らせてください」と言わねばならないほどの近さでも
無く、実にいい緊張感と、気安さを演出します。「もっとアップでとれなきゃ。」とおっ
しゃるあなた!!。よいライカレンズで撮ったネガは一部分を引き延ばしても、十分安い
ズームレンズ以上の画質がありますよ。←ここをクリックして見てね。
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