ささやか写真館

                                2000年8月

               題名「バッタ」
  
          

                         トプコール25/3.5

  愛知県民でありながら、話題の万博予定地「海上の森」に一度も行ったことが
 ありませんでしたので、7/31に行ってみました。
 名鉄瀬戸線から、「万博があると複線になれるんだけどねー」みたいな
 電車に乗り換え、駅から徒歩20分ぐらいで海上の森の入り口につきます
 この日は時々激しい雨が降り、何事も無かったように晴れるという
 激しい天気でしたが、なんとか有名な大正池にたどり着いて、昼食にしました
 この森は人工林だそうですが、本当に深い森林で、これが名古屋のすぐそばに
 あるとは信じられません
 推進派の人には、こんな土地が遊んでいるのはさぞもったいないでしょう
 大正池も砂防ダムによってせき止められた人工の池ですが、なかなか
 神秘的な風景を持っています

 写真を撮りに来ている夫婦は「さっきまでカワセミが来ていて…」と
 言っていました
 暑い日でもあり、訪れる人はわずかでした
 そこからだいぶ歩いて上の篠田池まで行って来ました
 そこまでの道中は本当に草深い道で、先導して下さる人がいなければ
 迷ってしまいそうです
 なにしろ両手を挙げて、捕虜になった兵士のようにしないと歩けないところも
 あります
 篠田池にまで登ると、風はさわやかで、結構涼しくなり、同行していた中学生
 たちの機嫌もよくなりました
 彼女たちはバッタをつかまえては歓声をあげていました
 バッタなんて私の子供自分には珍しくも無かったですが、都会では珍しい
 のでしょうね、かえって売っているカブトムシの方が普通なのかもしれません
 今度の訪問で感じたのは、海上の森が、都市近郊の防風林や鎮守の森の類では
 奇跡的に生き残っている森であることです
 本州では、比較的標高の高い地域には森林が多く、日本の森林保有率を
 世界有数のものにしていますが、平地では開発の名の下に農地化・宅地化が
 進み、森は消滅しています
 従って、愛知県がここに目を付け、開発したくて万博を利用しようとしたのは
 まことに持って当たり前の成り行きです
 他の平地・丘陵は全部木を切ってしまったのですから…
 自然を見たければ山へ行けばいい…と言う感じでしょうね
 しかし、今度行って感じたのは、「この森は暑い」と言うことです
 山に登れば、当然気温は下がります
 利用価値のない山岳地帯の森は残って、我々は「森は涼しいもの」と
 いう概念を持っていますが、私達が子供だった1960年代には大都市の近郊にも
 このような平地の森林はいくらもあったのです
 私達は汗を流しながら、夏休みに虫取りをしたものです
 気温も湿度も高い森ですから、植生も生物分布も当然長野あたりとは
 違っているはずで、そこが貴重だと思います
 オオタカなどの稀少生物のことばかりクローズアップされていますが
 むしろかつて平野全体に広がっていた、平地林の貴重な生き残りを
 私達は保護すべきと思います
 ヨーロッパやアメリカの人が万博に来て、「わーめずらしい」という様な
 森ではありません
 彼らの都市の周りにはちゃんとこういう森が残っている場合が多いです
 日本だけが、無節操な都市開発により失ったのです
 万博の計画が縮小されて、海上の森が多少守られるようになりそうですが
 テーマの「自然との共生」から考えると、これぐらい似合わない場所も
 ないでしょう
 なぜ海上の森しか残っていないのか?を考えると、「都市化による自然破壊」
 というテーマがふさわしいと思います
 海上のもりはぜひともこのまま残して、万博では「いかに都市に自然を
 取り戻すか?」をテーマにして貰いたいと思います
 後、有名な「無節操の木(末広マキ子議員が万博反対を訴えて当選し
 海上の森の1本の木に名札を付けたが、後自民党に鞍替えして推進派となり
 名札をはずした)」も見ることが出来て有意義でした(^_^)

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