ささやか写真館
2006年8月
題名「無駄のない歩み」
PENTAX-FA 100-300
4.5-5.6
物見高い名古屋人としては珍しいと思いますが、ようやくセントレアに行って来ました。
まあ普通の空港なんですが、この国際空港を実現するために、トヨタがかなりの
お金と知恵を出して主導的な役割を果たしたことは有名です。
世界のトヨタは、既に他の国産自動車メーカーを周回遅れとし、外国メーカーと生き残りを
かけた戦いに明け暮れています。
この国では、大企業の本社は東京にあれば有利なことは明らかです。
トヨタの東京支社は、他の大企業並の機能を持つ大規模なものでした。
しかし現在のトヨタは日本政府だけを相手にしているわけではありません。
東京支社は「在日トヨタ大使館」で充分なのです。
かつて「工販分離」で製造部門は豊田市、販売部門は名古屋駅前に置いていたトヨタですが
再び合併して豊田市に本社がありました。
しかし、所詮豊田市は地方都市。高速道路を除く交通アクセスはそれほど便利ではありません。
出来上がった自動車は船やトレーラーで、各地に輸送できますが、海外に関しては現地生産が
主流になり、車を運ぶではなく世界中で製造される製品の品質とアイデンティティを保つための
人材を出来るだけ早く現地に向かわせる必要がありました。また国内に置いても販売戦略を
組み立てるための、社員の迅速な流れが重要です。
国内=新幹線。国外=航空機。
この2つを出来るだけ能率よく持てる都市は、かつてトヨタが捨てた名古屋市でした。
東京でも、大阪でも無かったのです。
国際空港を手に入れるために、名古屋の出来るだけ近くに海上空港を計画。
トヨタ流の徹底的に無駄を省いた機能的な空港を、驚異の低予算で建設。
名古屋への交通アクセスを、一地方私鉄の赤字路線「常滑線」で一本化。
最新の高速列車を走らせ、名古屋駅から28分という成田、関空を凌ぐ短時間で結ぶ。
国際線誘致のため(だけだよ多分)に名古屋の国際知名度を上げる目的で、「愛知万博」に
積極的に協力し、多くの人の予想を裏切る入場者を記録。
セントレア自身にも、無味乾燥なビジネス空港のイメージにしないため、有名店舗を誘致し
観光地的なプラスイメージを定着させる。
決して金がかかってないけど、上の写真のような何気ない空間演出が上手い空港です。
そして、名古屋駅前の最後の一等地、旧毎日ビル後に超高層のトヨタ毎日ビルを建設。
豊田市の本社と東京支社のほとんどの機能を集めた、世界のトヨタ司令塔をこれから
作るわけです。
名古屋駅前本社から、約1時間で大阪。約2時間で東京。そして1時間以内には機上に。
こんな便利なアクセスをもつ大企業は世界中捜しても無いのではないか?
名古屋が元気と言われますが、ほとんどトヨタのおかげでしょう。
本社で働くトヨタグループの家族の住居だけでも、名古屋のマンションは極端な不足に
なり、万博以上の建築ラッシュで潤っています。
これだけの政治を動かす大企業は、とかくあのイメージ、
「豊田屋、そちも悪よのう、はっはっは。」
「お代官さまこそ、ふっふっふ。」
がつきまといますが、実はトヨタの方が上の感じです。
「私どもは、このように名古屋に拠点を置く為の戦略をたてて居ります。そのためには
お金は惜しみません。日本、名古屋の為にも決して損な話ではないと思いますが。」
「おお、ありがたい。地方の活性化のために、トヨタさんが主導していただければ、
こんなに有り難いことはありません。」
ある意味、トヨタ本社誘致は、首都移転より名古屋にとって重要な事だったのではないか。
悔しいけど、脱帽だ。
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