ささやか写真館


2005年8月

                  題名「行ってみた」
 
 

                                    EBC Fujinon 58mm/1.8

   万博も終わりに近づき、ようやく私にも券が回って来ました。まあ名古屋には万博協賛の企業は
  多いですから、一日券あたりが使われずに残っている、という状況はある訳です。
  使おうと思っていても、リピーター人気から結局通し券を買った名古屋人も多く、連日の満員の報道で、
  一日中行く気もなく、一日券一枚を夜間券(17時から)二枚に交換する人も多い訳です。夕涼みがてら、
 という感じですね。奇数グループが一日券数枚で夜行くと、夜間券が一枚余る訳です。

  今回私の課題は4つありました。
 1.アリバイ作り。
 2.「帰って来たヨッパライ」に逢う。
 3.悔いの無い喰い方。
 4.千里の敵を長久手で討つ。

 1.につきましては、名古屋人として「万博行った。」と言いたいダケです。例えば数十年後、
  某老人施設で「あんた名古屋だったなあ。万博行ったかね?」と聞かれた時、
  「わしゃ行った」と言える。と言うだけのためです。
 2.につきましては、イタリア館が展示している「踊るサテュロス(上の写真。)」です。地中海の
底引き網で奇跡的に引き上げられた2400年前のブロンズ像で、有名な酒の神バッカスの脇侍
  みたいな青年神です。
  ワインで泥酔して、裸で踊っている姿が多い様です。私はこの像を「帰って来たヨッパライ」と
  名付け、楽しみにしていました。
 3.につきましては、今更和食でもなし(ましてや味噌カツとかはパス)、まあ万博で食べたい物を
  事前にリサーチした所、3品に絞られました。
  A.チェコ館レストランのスープ(800円)。
  B.アメリカ館前「ルート66」のステーキサンド(1000円)。
  C.オーストラリア館テイクアウトコーナーのオージービーフハンバーガー(800円)。
  夕食として、経済的&カロリー的に問題のある内容でしたが、まあ二度と出会えないものだし、と。
 4.につきましては、言うまでもなく大阪万博です。私は高一でした。ある日(多分夏休み)、親が
  万博見てこいと言うのです。母は病弱で万博に行けない代わりに、我が家では立派な初カラーテレビ
  (「太陽の塔」のレプリカが付いて来た)を買ったのですが、息子位は万博に行かせてやろうと、
  日帰りでの見学を許してくれたのでした。150%以上の乗客を乗せた新幹線(営業してないビュッフェ
  の椅子に座れました)に乗って出かけましたが、どのパビリオンも長蛇の列で、結局覚えているのは
  当時日本初上陸のコカコーラ社「スプライト」を飲んだ事(サイダーとは違う!いかすぜ)だけ。
  人気のアメリカ館も、ソ連館も見られなかった。

  さて、課題1.は入場門をくぐった途端に果たせたわけですが、結構大変でした。入り口で金属探知機に
 止められてしまったのです。4回。最後は時計を外して、ようやく通れました。
 企業パビリオンなんて高望みは最初から無し。外国パビリオンはどれもそれ程混んでいませんでした。
 でも、大阪万博の外国パビリオンに比べると、全然気合いが入っていません。
 適当にビデオや写真、物産などを陳列しているだけで、
 「我が国を日本人に知らしめたい。」という気概が全く感じられません。だってもう知ってるもん。
 情報化社会のなかで、万国博覧会の使命は終わったかもしれません。予算も全然違うのでしょうね。
 まあ、毒舌を吐けば、「学園祭のクラス展示なみ」と言ってもそんなに遠くないです。
 恐らく、次回の上海万博では「気合いの入った」外国パビリオンが復活するでしょう。中国の60億人民に
 その国のイメージを刷り込むのは、とても大切でしょうから(ちなみに私の中国の初めてのイメージは
 小学生の時に名古屋の吹上ホールの中国展で見た、「紅旗」という重厚な要人用自動車です)。

  一番情けないのは英国館です。大英帝国の投げやりな展示をぜひご覧になる事をお薦めします。
 アンデスやアフリカの共同館より、完全に負けています。
 「なんだこのやる気の無い展示は」と担任に怒られるレベルです。

  イタリア館はさすがデザインの国展示のセンスはいいです。燃料電池スクーターらしい展示も
 良かったです。ヘルメット収納スペースに詰め込まれたメカは発電器か?「踊るサテュロス」は頭蓋
 割れ、脳みそが無く(最初から無いって)、手と片足がありませんが、素晴らしい芸術作品です。
 今後二度と国外に出る事が無いと言う話なので(「洋服の青山」の閉店セール並みかもしれませんが)、
 楽しみにしてました。それから、この像の正面の写真を見ると、普通野性的な表情を浮かべている事が
 多い他のサテュロス像と違い、端正で、例えば興福寺の「阿修羅像」と共通した「異質さ」を感じたの
 ですが、実物はやっぱり美しいものでした。ちょっと苦悩をにじませている様にも見え、ひょっとして
 サテュロスではないのでは?とさえ思いました。

  満足してチェコ館に向い、レストランに行くと、赤いコスチュームを来た背の高いコンパニオンが、
 たどたどしい日本語で、「ここまでオショクジ。アナタ飲み物ならオケーです。」と言うので、
 「スープ飲みに来たんです。一人分お願い。」と言ったら、「ならアナタまで」とラッキーでした。
 ちょっと並びましたが、美味しかったです。メニューには「栄養強いスープ」とありました。
 ちなみに作っているのは、「コック師匠」です。誰が訳したぁ〜っ!
 
  そのあと、ロシア館にすんなり入りました。マンモスの骨や工芸品は素晴らしかったですが、
 なんちゃってスペースシャトルには苦笑でした。
 
  そろそろ9時近くなりました。かなり歩いて、アメリカ館のあるエリアに行った所、「ルート66」が
 あり、「ヤンキースホットドッグ、売り切れ」などと書いてありましたので、慌ててステーキサンドを
 注文しました。食べてたら、隣でどこかの外国人スタッフが日本人の女の子を口説いていました。
 もう少しでお持ち帰りという時、同僚?の女の子がやって来て、
 「コノヒトスケベダカラキヲツケテネ」と言ったため、彼の計画は水泡に帰し、メデタシメデタシ。
 なんて事を見ていたら、9時を回り、10時までだとたかをくくっておりましたが、パビリオンは大体
 9時終了でありました。つまり1時間は客を追い出す時間と言うわけ。
 という訳で、大阪でも見れなかったアメリカ館は見れず。もう一生駄目かなあ。

 「環境万博」だそうですが、あまりそれらしい展示は見受けられず。唯一目的別のもの凄い種別の
 ゴミ箱。これは迷うわ。

  4.の課題をクリヤー出来なかった悔しさから、3.だけはと全然お腹はすいていないのに、また歩いて
 オーストラリア館に。もちろんパビリオンは終わっていましたが、土産物屋とテークアウトは営業。
 このハンバーガーはお勧めです。「匠」なんか問題じゃないね(食べた事無いけど(爆))。
 この夜の総カロリーは恐ろしいものになりましたが、普段の百倍位歩いたためか体重増加なしでした。
 結局ハンバーガーを食べ終わったのは10時近く。屋台でビールを売っていた日本語の上手いイケメンの
 オーストラリア青年と話し込んでた女子高校生が、別れ際にたどたどしい英語で、
 「Nice to meet you, bye」と一生懸命叫んで、走って行ったのが可愛かった。
 「まてよ、あれは普通出会った最初の言葉、別れる時ならせめて過去形で"to met"じゃないか?いや、
  toの次は基本形でいいのか?」などと、受験英語の残滓を絞りながら、カブで帰路に着きました。

 「わしゃ行った。」


  
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