ささやか写真館


  2004年12月

                題名「酔狂も大概(てぇあぎゃあ)に」
  
  

                                          FinePix F601
  
   毎日営々と働いておりますと、「今度○○しよう!」と言うような、ささやかな楽しみが、少しでも
  欲しくなります。昔みたいに趣味に走るお金はありませんので、いきおい「今度あれたべよーっと。」
  という事になります。どんなに貧乏していても、毎日何かを食べないと生きては行けませんからね。
  まあ普段の日を切りつめれば、月に1度くらいは1食に1000円位思い切って使っても、バチはあたり
  ませんが、本当に心から食べたい物は、結構高いものが多いですね。そこで今回は
  「次の休みに食べたい物」を1週間考えて過ごしました。自分の中のハードルは思い切り高くして
  みました。

  1.予算は1000円以内(車のガソリン代は別、電車代・駐車料金は込み)。
  2.最近食べていなくて、久しぶりに食べたくてしょうがない物。
  3.かなり努力しないと食べられない物。
  4.「あれを食べたぜ。」と自慢すると、みんなが「ほー!」と一応感心するが、内心「ベルーシは
   酔狂な奴」と思うシロモノ(例えば江戸っ子が初鰹に大金をかけたり、中国の富豪が森に火を放って
   逃げ遅れて焼け死んだ鹿の中で、ちょうどいい焼け具合のが1匹だけいて、それを食うとか。)

  1週間考えて、結論は「吉野家の牛丼」でした。キョンシーS氏のコラムにも、よく話題になりますが
  ご存じBSE問題で、吉野家から牛丼が消えてずいぶんになります。他の会社では牛丼を復活させて
  いる所が出てきましたが、吉野家の社長は「従来使ってきた米国産牛肉でなければ、吉野家の牛丼の
  味は出せない。」と、頑なにこだわって業績低下にも耐えています。オーストラリア牛はともかく、
  中国牛って、本当に全頭検査してるんだろうか?なんて思ってしまいがちですし、国産牛ではコスト
  の点で無理でしょう。もう吉牛の味をすっかり忘れてしまいました。
  前から知ってはいたのですが、実は国内で今も牛丼を販売している所があります。
  競馬場の中にある吉野家は、契約で「牛丼」を販売しなくてはならないのです。開催日には。
  インターネットで調べて見ると、大盛りのみで650円。昔の特盛りの値段ですね。他では食べられない
  のだから、それぐらいの出費はしかたないか。私の家の比較的近くの中京競馬場には駐車場があります
  が、すぐいっぱいになるし渋滞もあるでしょう。近辺には私設有料駐車場があるようですが、これは
  きっと「1日○○円」というやり方でしょう。普通競馬場に行く人は、最終レースまでいるでしょうし。
  インターネットで調べてみたら、一つ隣の駅に大きなスーパーがあり、2時間までは駐車料金無料の
  様です。まあ日常必要な品をそこで買わせていただくとして、それは今回の経費外。競馬場前の駅へは
  160円。往復320円。牛丼食べて970円。やってみるか。
  この計画を友人にうち明けたところ、「4」の反応がかえってきました。ただし同行はきっぱりと
  断られました。「やめとけ」という人もいました。正しい意見だと思います。
  でも、やってみたかったんだよー。メルマガなんかのネタにもなりそうだし。これは仕事だ(笑)。

   と、言うわけで先週行って来ました。
  比較的すぐにスーパーには到着。電車もすぐやってきました。競馬開催日には、競馬場前に急行も
  臨時停車するんですね。駅を降りて競馬場に向かう人々のなかで、私一人異邦人のようなものです。
  みんな楽しみのためか、生活のためか、馬券を当てたいと真から願っている人ばかりです。
  重賞レースなら本当に好きな馬を応援しにくる人もいるでしょうが、とにかくギャンブルが目的の
  人が集まっていました。その中で「牛丼食べたい」が一人混ざっているという・・・。
  駅から無料バスに乗って(この辺はサービスいいですね)、競馬場に着きました。
  いやー綺麗。いやーでかい建物。みんな馬券で出来たんだヨナー。と感心しながら進むと。。。。
  思っても見なかった、いや予想しても良かった事態が待っていました。
  「競馬場って、入場料取るんだ・・・。」まあ200円ですから何でもないと言えますが、
  これでは予算オーバーです。残念。でもここまで来て、帰るのもいやなので、入りました。
  競馬場は清潔な駅のようで、切符売り場の代わりに馬券売り機が沢山あり、沢山の人が並んで
  いました。一角に食堂街、というより大型ショッピングモールによくある色々な食べ物の売店が
  あり、食べるのは同じ広場の様な所で。という形式の場所に吉野家はありました。奥で鍋を煮込み
  カウンターでどんどん売っています。どんどん売れています。牛丼を喰うことに何か縁起をかついで
  いる人もいるでしょうね。ふつうの食堂街と違うのは椅子がないことで、立つ高さにテーブルが
  あります。写真に出ている、真新しい木のテーブルです。普通と違うところはもう一つあって、
  壁際には新聞紙をひいて地面に座って食事をとっている人が結構多いことです。食べながら、
  片時も競馬新聞から目を離さない風情で、この辺はどんなに綺麗になっても、伝統を感じます。

   私も買いました。正確には「牛丼大盛り弁当」ですね。丼には入っておりません。
  味は・・・。確かに牛肉の量は大盛りのそれであり、オーストラリア牛としても、国産牛としても、
  650円はやむ終えないと思いました。味付けも懐かしかったですが牛肉そのものは、社長がこだわる
  だけあって、米国産より脂気も少なく、固い気がしました。
  一番残念だったのは、どんどん作りおきして販売しているので、つゆをご飯が吸っちゃてる、
  「持ち帰り現象」が起きていたことです。私は持ち帰りの際こそ「つゆだく」をというのが主張
  (んな大袈裟なもんでもないが(笑))でしたが、まさか目の前で作っててこうなっているとは。
  このへんは改善を望みたいですね。ま、とにかく懐かしのご対面はあっけなく終了しました。
  この時点で1010円。ゲーム終了です。実は100円から買えるという、馬券という物を生まれて
  初めて買って見ようかなと思っていたのですが、「入場券の分を少しでも補うために、帰りは
  歩いて帰ろう。」と思っていましたので、やめました。食べ終わった時点で、まだ1時間以上は
  あったのですが、帰りの徒歩時間を考えると、2時間を過ぎてしまって、駐車料金を払うのも
  予算オーバーをさらに更新してしまうし(実際には余裕でしたが)。
  馬券を適当に買って、ビギナーズラックで当たったりしては、人生を誤るかも(もう充分に
  誤っとるので(苦笑))しれなかったと思えば、まあ良かったとは思います。
  一応馬の走るとこは見ましたよ(笑)。

   また無料バスで駅に戻り、一駅歩いて帰りました。まあ天気も良かったし(風は強かったが)
  いい散歩と言えましょう。道すがらずっと頭の中でフォスターの「草競馬」が鳴っていましたが、
  いつのまにか「トップカメラ」のCMになってしまうのです(同じ歌だもんね)。
  もう少しで、車を止めた駅と言うところで、「戦人塚 左折0.5Km」という看板があり、この
  あたりは、桶狭間の古戦場の近くですから、そういうことだろなと、寄ってみました。まさしく
  そういう史跡で、桶狭間の戦いの戦死者2500人!を葬った所だそうです。
  天下分け目の関ヶ原でさえ、やっと7万とか10万とかの軍勢ですから、桶狭間の戦いというと、
  何となく小さな奇襲で今川義元を討ち取った感じでいたのですが、案外大きな戦いだったのだな、
  鉄砲もない時代に、槍や弓矢でこれだけの戦死者を出したとは。いや勉強になりました。

  と、いうわけで「牛丼ツアー」は天気にも恵まれ、まずまずの成果でございました。取りあえず
  吉牛再開の日まで、私がもう一度競馬場まで行ってまで牛丼を食べることはないでしょう。
  やって見なければわからない事もありますが、やらなくてもわかることはやらないのが、賢い
  人というものですね。私はお馬鹿です(汗)。
  
               |ベルーシホームページに戻る|
                |ささやか写真館に戻る|