ナゴヤからの手紙
 
2015年1月
 
「Fry me to the FullMoon!」
 
 
フランク・シナトラの大ヒットで有名な”Fly me to the Moon”は1960年代の
アポロ計画のテーマソングのように大流行した曲ですが、初出は1954年だ
そうです。ライカM3、ゴジラと並んで、私の生まれ年がまた一つ。
邦題は”私を月に連れてって”ですが、このfryは使役動詞的に使われてり、
”Take Me Out to the Ball Game(邦題:私を野球場につれてって)”に比べると
かなりの意訳な事が判ります。
「私を月に飛ばして」ですよね。アポロ宇宙船に乗って、というより、
サーカスにある、大砲から放出される男。みたいな感じです。
さてRとLの発音差がない日本語では、”フライ”というと、
「飛ぶ」
「ハエ(飛ぶ虫一般。竜みたいなハエがDragonfly:トンボ、バターのハエが 
 Butterfly:蝶←なんで?)」
以外に、Fry(油で揚げる。揚げた料理)も連想してしまいます。
というわけで、今回は揚げ物の王(当社比)であるところの
「コロッケ」について探訪記を記したいと思います。
 
ものまね王である彼が、芸名に用いた事でも判るように、日本ではコロッケは
庶民のおやつです。
元はれっきとした欧州の料理であったはずですが、なぜか日本では、庶民の味
として、大評判となりました。まさに
「文明開化」の味だったのでしょう。
トンカツが、豚肉の塊を使う副食系の王であるのに対し、
コロッケは、幾ばくかのひき肉を含むとはいえ、大半はジャガイモ。
周りは小麦粉とパン粉の衣。
揚げ油の油脂を多量に含むとはいえ、基本的には炭水化物の塊。
これをご飯のおかずにする、あるいはコロッケパンにする。
「炭水化物と炭水化物の夢のコラボレーション(@平沢唯)」ですね。
日頃油物を控える食生活を送る私にとって、いちおう
「ハレの食べ物」なわけです。しかも安い(笑)。
 
最近のお気に入りはローソンの
「げんこつコロッケ」
ジャガイモ一個分か?という位の質量は、圧倒的で、カロリーさえ心配が
なければ、ローソンに行くたびに買いたいですが、心配なので、じーっと
見るだけ(涙)。今回は特集のため、仕方なく(笑)買いました。
どろっとしたソースも素敵。
↓また一口喰ってから撮ってるし(笑)。
 
 
さて、これからの探訪記は、実は2日間に分けて行ったものを、繋げてます。
カロリー的に心配なせいではなく(この日はコロッケしか食べない覚悟が
あったんだぜ)、取材日(休日)が日曜と水曜だったので、定休日の店が
あったためです。
 
1.ブリオ(天白区)
 
 
 いつもお世話になっている三河ポークの名店。いつもは一番安い
「やわらか串カツ(90円)をいただくのですが、今回は大枚155円の
コロッケ。さすがに豚がいいので、コロッケも上等です。
一番↑の写真は、ブリオの店外のテーブルにて。
「かーけちゃった、かけちゃった。コーミソースかけちゃった。かければ
かけるほど、おいしいもん」のCMで有名な(知ってる人は東海地方の中高年。
調子に乗ってかけすぎて料理を台無しにする子供続出で、かければ以降は
後に割愛された)コーミソース小振りちゃん(108円)。
マイソースであります。コーヒーは店のサービスなんですぜ。
ここは試食が充実しているので有名で、この日は寒い日曜日という事で、
寸胴に豚汁を振る舞ってくれました。めちゃくちゃ上手い。
豚汁って一番豚肉の臭みが出がちな料理ですが、ここのは全然しない。
店員さんに、
「もう定食屋やっちゃいなよ」といったら、いろいろ考えてはいるらしい。
この豚汁と、ご飯、豚肉料理一品とミニサラダで700円位だったら、
行列出来るよ。と言っときました。
私的にはご飯と豚汁で、300円でもいいぞ。
 
2.井田金(瑞穂区)
 
 
 島田から、新瑞橋に向かうルートは、八事の山を回避出来るので、うちから
一番楽に”名古屋へ←昔の天白の年寄りはこう言った”出られる道です。
中根から新瑞橋に向かう道は、途中緩やかに登り、また下って新瑞橋に向かう
のですが、その上り坂の頂上付近にあるのがこの肉屋。
薩摩豚と、和牛の店です。
ここは揚げ物も充実しており、飛騨牛コロッケは90円なのに結構いい。
「峠の茶屋」感覚で行きか帰りに立ち寄りたくなります。
店内にソファがあり、一個買って座って食べるのは至福の時間。
90円で。安いアタシ(笑)。
 
3.男爵屋(瑞穂区)
 
 
 さらに新瑞橋に向かう途中の交差点を左折してすぐ左側にあります。
ここは随分昔から店を構えていて、各種の変わりコロッケが充実しているが
普通のコロッケが上手い。
前述二店は肉屋なので、作り置き。揚げたてに出会えないと冷めているが、
ここは注文してから揚げるタイプだが、殆どの客が持ち帰るので、ハンデは
あまりない。揚げたてが旨いのは当然だが、冷めても旨いのが庶民のコロッケ
ここは、業界でかなり先進的にキャノーラ油(なたね油)で揚げるスタイルで
ラードで揚げていたコロッケに比べると軽いです。
余程のこだわりのあるトンカツ屋でない限り、ラードオンリーの揚げ物は
最近はなかなかない。重いし、揚げ油の管理が難しいので。
私は植物油揚げの方が好きです。
名古屋ではコロッケの有名店であります。
名前のとおり、ジャガイモ特有の風味が最も強い店。
個人的には140円のめんたいこコロッケがツボ。
 
4.鶏繁(瑞穂区)
 
 
 新瑞橋から北上し、市大病院手前を右折して、右側にある鶏専門店。
ここのチキンカツやコロッケも有名で、土台のジャガイモは固めに練られて
いる昔風ですが、鶏肉の味がちゃんと残る、いい味です。
もう長い付き合いの店ですが、味が変わらないのがうれしい。
かつて天白区の島田橋に大山商店という鶏肉屋があり、ここのコロッケも
大好きだったが、廃業された。最初に知った30年前から老夫婦だったからな。
 
5.マルニシ(瑞穂区)
 
 
 鶏繁からさらに北上すると、右側に大きく”トンカツ”の看板。
ここも注文してから揚げる名店で、すぐ売り切れるのでも有名。
午後2時前に訪れたが、もう余りなかった。
じゃがバターコロッケ、という安めのをいただいたが、さすがに旨い。
まあ揚げたてコロッケで、まずいのは難しいけど。
近所になくて、本当に良かった(汗)。
野菜を揚げたのとか、今度じっくり食べてみたい。
 
6.マル昭(昭和区)
 
 
 西に向かい、高辻に向かう。そこから北上したところにあるのが、この
コロッケ専門店。最初にいった時間は中休み中で、4時からということで、
再度訪れる。4時に飛び込んで、一番安い70円の小振りなコロッケを注文。
ここも注文してから揚げてくれます。
店内にテーブルがあり、カツ丼なども食べられます。
ここは”昭和の懐かしいコロッケ”が売りとの事だが、どうしてどうして
完成度は半端じゃない。今回一番感心しました。
コロッケのジャガイモもクリームコロッケか?と言う位のなめらかな出来で、
小さい頃、こんな上等なコロッケは、洋食屋さんにしかなかったぞ。
次にいく時は、150円のコロッケパンを注文しようと思った。
若い夫婦の働きぶりも見ていて快い。
コロッケ写真撮るの忘れた。ま、旨すぎたという事で(汗)。
 
7.マルオト(昭和区)
 
 
 マル昭が中休みと言う事で、ルートは逆行になるが、雁道の肉屋、
マルオトに向かう。
典型的な肉屋さんで、おばあちゃんがコロッケを包んでくれました。
残念ながら揚げたてではなかったが、これぞ昔風!という、固めのコロッケ。
ソースをかける事を前提とした味付けですね。
スタンダードな味の基準として貴重なコロッケだと思いました。
昼前に行くと、揚げたてが食べられるかなあ?
 
という訳で、全7店、多様なコロッケを味わいましたが、どれも旨い。
体重を考えると、こういう試みはあまり出来ませんが、たまに立ち寄り、
ちょっと食べたい気がします。
 
マル昭にもどる途中、まだ4時まで時間があったので、高辻のスーパーに
よったのですが、ここにたい焼き屋さんがあり、ちょっと面白かったので
つい買ってしまいました。さすがにコロッケばかりだと飽きる…。
 
 
「養殖」というのと
「天然」というのがあり、違いを聞くと、養殖は一般的な機械焼きで、
餡も出来合い。天然は餡は手作りで甘さ控えめ。一枚づつ手焼きとのこと。
50円くらい違いましたが、天然を指名。
 
 
ご覧のように、見てくれは余り良くなく、なんか大きい。
でも餡はかなり好み。上品な茹で小豆という感じでした。もちろん焼きたて
なので、皮はパリパリで薄くて、気に入りました。
次回の探訪記は、たい焼きにしようかな?
 
途中立ち寄った公園で、よってきたハト。
店で食べちゃうから、何にもないよ。
 
 
 
というわけで、
「Fry me to the FullMoon!(私のお腹を満月みたいに揚げ物まみれにして!)」
な探訪記を終了します(後で、必死のダイエットだったが(涙))。