ナゴヤからの手紙
 
2016年7月
 
「Ein Prosit!」
                        今回も全てiPhone6です
 
吉田戦車の”伝染るんです”という漫画にドイツ人というのがありまして、これは
ドイツ人(じん)ではなくてドイツ人(にん)なんですね。
日本人なんだけど何かドイツっぽい雰囲気を持つ人が、ごく普通の近所の
おじさんとかそういう人にいる。なんかオリバー・カーンっぽい感じ?
寡黙な職人タイプというか、真面目な勤め人というか。
ことほど左様に、日本人がドイツという国に抱くイメージは、
真面目とか、すごい工業国とか、アウトバーンは速度制限がない。とか、
なんかとてもかなわねえな。とにかく陽気にはしゃぐって言うようなのは
あまり想像できない感じなんですね。
 
ところが、ドイツにはオクトーバーフェストというとんでもないお祭りが
ありまして、全国全世界から酔っ払いが集まって、ぐでんぐでんになると
いう。まあ、収穫祭とか今年のビールの出来をみんなでみるとか。これから
長い冬を迎えるので、とりあえず気合をいれとこうとか、まあ名目はあるに
せよ、まあそういう10月の世界的に有名な飲酒祭なんですけれども、
大変な賑わいのようです。
このお祭りがなんだか日本各地を巡業して回るという。ドイツビールの
宣伝という意味もあるんでしょうけれども。いやそれが1番大きいんでしょう
けれども。ドイツ当局の(固いね(笑))思惑通り、すっかり日本でも人気を
博しており、名古屋でも毎年7月に行われます。
 
そういうわけで今年初めて参加してみることにしました。
ドイツ人は飲食物にも大変真面目で、16世紀、それこそルターの宗教改革の
頃に作られたビールの醸造法に関する法律を真面目に守ったビールが
たくさんあります。
それを生ビールの形で提供するわけですから、こんなうれしいことは
ありません。もちろんお酒を飲むわけですからバイクや自転車で会場に
向かう訳にいかないので、地下鉄で行くことにしました。
幸い鶴舞線の定期は持っていますので、上前津で降りて矢場町の会場まで
地下鉄一駅分歩いて行きます。これから高カロリーのビールを飲むわけです
から、ちょうどいい運動です。
会場には10社あまりのビール会社が出店していて、それぞれ特徴のあるらしい
ビールとソーセージ等のつまみを販売しています。
 
 
こんな感じで各出店には、アルバイト(まあ地元名古屋の女子大生なんで
しょうかね)さんが、ドイツ民族衣装風の服でメニューを渡しており、
これ見るだけでも、きて良かったと思っちゃう(笑)。
 
 
メインステージでは、ドイツから来た渋いオジサンバンドが演奏しており、
結構盛り上がります。この人たち、春くらいから9月位までずっと日本に滞在
して、各地を廻るらしく、早くも日本酒大好きとかいってました。
毎年来てるのかも。もちろん10月には祖国に戻って、本物のオクトーバー
フェストでも多いに稼ぐんでしょうねえ。
両縁のお姉さんは、ステージの司会者で、結構ベテランのけいこさんと、
新人?のコンビ。けいこさんは私が行った4回!全てにおられたのですが、
もうひとりはステージの度に違う人でした。
この人たちも全国廻るのでしょうか?
暑い中、冷涼なドイツの民族衣装を着込んで、スカートをくるくる廻しながら
踊っているので、相当ハードらしく、けいこさんが
「着替えの時に自分のお腹を見たら、いつの間にか腹筋がくっきり割れていた
オクトーバーフェストダイエットとして、DVD出そうかと思います」と
冗談言ってましたが、確かに夢の国のキャスト並のハイテンションで、結構
重労働です。1時間のステージを平日3回、土日祝5回こなしてます。
 
 
これが盛り上がってる会場の全景。この後ろにもさらにテントがあり、
日本のドイツにん達が、上機嫌でビール飲んでます。
 
 
出来上がってる皆さん。中央最前列の花柄の女性にご注目ください。
ドイツの女子民族衣装は、長いスカートと袖無し胴衣を着ますが、その胴衣の
胸の部分が四角く開いており、その下に白いブラウスを着用。そのため
最近の日本のアニメで言う
「乳袋(アニメの女子制服に見られる、三次元ではあり得ない縫製。細い
ウエストから、別色布または同色布で、立体的に前へ大幅に飛び出す裁断になっている)↓」の元祖的着重ねなんですが、本当に恵まれた方は、このように
大変な事になる訳ですね。
参考映像:アニメ”小森さんは断れない!”
 
閑話休題。まず最初に行った時のテーマは、
「とにかく一番凄そうなビールと、一度も食べた事のない例のアレ」
でした。
事前調査で、このネーミングの凄さには敵わない!と思ったのが、
「ラングブロイ、ベネディクト16世」
近年実に719年ぶりに高齢を理由に生前辞任(歴代2人目)したローマ法王で、
元々ミュンヘンの大司教であったため、ドイツでは人気のある方です。
この時は、参議院選挙前で、例のご退位の意思表示のお話は知りません
でしたが、なにか因縁を感じます。
 
 
一言で言うと、とにかく凄いビール。アルコール度も高いし、コク、キレ
どっしりしたのどごし。流石に名誉法王猊下の名を冠するにふさわしい
一品でした。
「例のアレ」はアイスバイン。豚のすねの部分を軟骨ごとじっくり煮込んだ
ドイツ伝統の煮込み料理で、野趣溢れるハム。といった趣。
付け合わせはザワークラウト。キャベツの酢漬けですが、これは私、あまり
好きじゃない。まあ食べるけど。
ビールが1500円(500ml)、料理が1200円。実はこのコラムの為の取材で
一回きりと思っていたので、最高の大判振る舞いです。
結局あまりの美味しさと、ステージと雰囲気の楽しさで、あと3回も
リピーターになってしまいました(しかも来年も行く気で居る(笑))。
 
 
 
ステージ演目途中で、ヨーデルの女王、ヴェロニカさんの登場。
若い頃はさぞや絶世の美女だったろうと思わせる、いい感じに年を重ねた
おばさまで、歌声も最高のヨーデルでした。
ヨーデルというと、スイスと思いますが、いわゆるチロル地方のアルプス
山麓は、スイス以外にも南ドイツ、オーストリア、北イタリアにまたがって
ますね。ハイジはスイスの少女ですが、途中でフランクフルトに引っ越したり
やはりドイツのお金持ちの令嬢、クララと知り合ったりします。
 
 
ステージからおりて、お客さんと踊る、司会者のけいこさん。
きつく絞めた胴衣の下の腹筋が割れてるわけですね(笑)。
 
 
 
2回目に行った時は、お金がもったいないので、つまみはなしで、黒ビールを
ドイツのビールは、修道院で醸造されるケースがあり、キリスト教はイエスが
ワインを”これは私の血”と例えて聖餐式を制定した為に、教会領や修道院領で
ワインを生産する事は一般的ですが、ドイツではビールも生産したのです。
修道院は元々修道士の労働による独立採算を旨としたので、重要な収入
として、国王も専売権を認めたのでしょう。これは
「ヴェルテンブルガー バロックドゥンケル(1000円 300ml)」
最古の修道院醸造所のオリジナルな製法という事で、中世の味ですね。
これも凄い!今まで飲んだ黒ビールの中で最高でした。
 
 
3回目はバイクで大須(まんだらけ)に行くついでに、ちょっとソーセージを
どこの出店にもソーセージはあるのですが、ここはラングブロイの店で。
「ゴールデンマイスターセット 1100円」
ブラートブルスト(焼きソーセージ)とクナッカー(スモークソーセージ)。
ここは”ドイツソーセージの父”マイスター・ローシャイダー”さんの監修という
ことで。ドイツというとソーセージ。という感じがしますが、父が現存して
おられるという事は、意外と歴史が浅い?或はここ半世紀程で劇的な変化が?
或は上方落語における故桂米朝師匠の様に、再興の偉人と言う事?
一度、じっくり調べねば。
 
 
これで最後。仕事の関係でもう最終日24日までに行く日はないぞ。という20日
実は来月の写真館でまとめる関西行きを控えていたので、予算がない。
最もコスパが良くて、最もポピュラーなビールを。という事で、
世界中のホテルに置いているという、
「ビットブルガー プレミアムピルス 1000円(400ml)」
これは日本のビールに一番近かったけど、もちろんドライとかラガーではなく
モルツとか恵比寿系の旨さ。
 
来年はばっちりシフト調整+貯金で、準備しよう。
同僚にはビール一杯1000円以上というと、
「高っかーっ!」と言われましたが、居酒屋で350円の生中3杯飲むより
いいや。どうせそんなに飲めないし。
上前津下車→会場→丸の内乗車(上前津に戻ると座れないので)という
グランドウォークもビールのカロリーを消費するのにはいい負荷でした。
 
ドイツビールと、ドイツとEUの未来に(千年近い宿敵のドイツとフランスが
一つの国になろうとしている。イギリスに水をさされても頑張れ!)、
「Ein Prosit!(乾杯!)」