ナゴヤからの手紙
 
2018年6月

「おっかけ」

              一部を除きSIGMA55-200/1:4-5.6DC

今年も前夜から名古屋市東区で行われている
「出来町、筒井天王祭」のフィナーレを飾る、
「徳川園 山車総揃え」が6月第一日曜に行われました。
江戸時代、尾張徳川家の城下町であるこの地区の伝統を受け継ぐ5台の山車が
揃う勇壮な祭りで、
徳川下屋敷であった現在の徳川園=徳川美術館の前で、からくり人形の技を
披露する、名古屋では
人気のある行事です。
何回も参加しているうちに、どうしても贔屓の山車ができてきます。
中之切(古出来町と新出来町の中間あたり)の河水車です。
この山車のウリは、何と言っても可憐な少女人形が、ごらんの様な紅い髪を
乱してヘドバン(ヘビメタバンドのコンサートで、観客が激しく頭を振る事)
を披露する激しいアクションです。
今回は美術館前に自転車を駐めて(前日までの京都ツアーで食べ過ぎたので、
運動のつもり)、
この山車の拠点である地域まで歩いて行きました。ここから一緒に山車と
徳川園を目指そうという魂胆です。



神社を出発する河水車。メンテ用のワンボックスと軽トラを従えていますね。



町内をゆっくり進む河水車。子供達が引く縄は、実際の動力とは言えず
実際には若い衆が押し引きしています。


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出来町通りに出ました。名古屋らしい3車線の道路の2車線分を占領して
進みます。
当然警官の先導付き。警官は他の4台の動向を確認しつつ先導します。



大通りを進む河水車。一番中央の車線を車がどんどん通っていくのが、
名古屋らしい光景。


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突然交差点で山車は右折し、狭い道に入ってしまいました。目的地方向では
ありません。
おそらく氏子たちの母校であろう名古屋市立明倫小学校前で、休止。
ここは名門で、かつてはここから名古屋市立辰甫中学校、県立旭丘高等学校を
経て、名古屋大学に進学するのがエリートコースと言われ、越境入学する者も
居たそうです。ちなみに明倫は、尾張徳川家の藩校、明倫館から来ていると
思われます。旭丘と並ぶ名門校の明和高校がその直系に当たるそうです。
なんでこんな曲がりくねったルートを辿るのか?
先導している世話役っぽい方に聞いてみました。
「山車が通るという事は、町内の厄を祓い、鎮める意味がある。というのが、表の意味。現実はご祝儀がいただける家を回る」とのこと。
祇園祭の様に、鉾の維持費負担が、そこに住む人の義務とされている
(年間国産車一台分位と聞きます)街とは違い、ここはマンションも
立ち並び、色々な人が住んでいるので、高い町内会費をお願いするわけにも
いかず、山車の維持費は、この様なご祝儀に頼らざるを得ない。
という事の様です。
聞いてみるもんだと思いました。



ゆっくり曲がりながら町内を回る山車。その都度若い衆(結構年配の方も
おられますが、商業地区であり、学生も多い街なので、他地区ほど高齢化の
問題は心配しなくでも良さそう)が内輪を固定し、外輪を持ち上げて
曲がります。大変です。



長い竿を持つ人。山車の上部は下げてありますが、
それでも電線に触らない様にT字の先端で持ち上げてくぐります。




途中で先回りして徳川園で待ち構える。
我らの(勝手に認定(笑))河水車が入ってきました。
既に天蓋を高く持ち上げています。



舞を披露する私のアイドル。優雅な神楽を踊ると思えば、表題の様な激しいヘッドバンキングを。

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からくりの披露のあとは、恒例の180度ターン。相変わらず、2回転する
山車もありますが、今年はとうとう3回転(正確には2回転半)する山車も
現れました。こういう競争心で、激しくぶつかり合う祭りもありますが、
徳川様お膝元ですから、そこまではなかったでしょう。
どっちが先に道を通るか揉めたりする事は、あったかもしれませんね。



見事なアクロバットを披露する古出来町の王羲之車。
古出来といえば、こんなハプニングがありました。
山車の代表者が名古屋市の代表や徳川美術館長から、ご祝儀やお神酒を
授かるという行事(収賄とかじゃありません(笑)あくまで儀式的な行事)
があるのですが、古出来の代表者の顔が、なんか見た事のある方。



あらら、河村名古屋市長じゃありませんか!
名古屋市の代表も来ていて、慌てて席を譲ろうとしましたが、
固く固辞して、町衆と同じく石畳に。
この方は古出来町の河村商事という会社が実家の、生粋の名古屋っ子で、
氏子ととしてプライベートで来ているわけです(当然スピーチ等もなし)。
他の人がやると人気取りのスタンドプレイに見えますが、
この人がやると自然なんですね。


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もっとも人気の高い、筒井の湯取車。
筒井は桜通に至る南の商業地区の総称ですが、ここだけ山車を2台持って
います。
これが従来謎だったのですが、この日来ていた東区在住のTwitter友達に
答えを教えて貰いました。


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湯取車と、早変わりで有名な神皇車(これだけ青い幕で人気)は、どちらも
筒井地域の山車ですが、車道を挟んで、元は違う街だったそうです。
一時は祭りの開催日を巡って険悪になったこともあったそうですが
(どこにもよくある、神事の当日に開催するか、土日にずらすかという
論争らしい)、現在は同じ筒井の二台の山車として行事に仲良く参加して
います。
謎の原因は町名変更の関連だったんですね。


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売店で、愛知商業の屋上で養蜂しているはちみつと、震災以来の縁で
陸前高田のリンゴを使ったアイスをいただく。
以前の様に愛知商業の女子高校生が販売してないのが残念
(変な下心ではない(笑))。
それにしても場内整理とかにボランティアで参加している高校生たちは、
相変わらず気持ちがいい子達だなあ。


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帰りには恒例の車道南側(筒井から桜通り渡った反対側)のユキさんで
ここが発祥の名古屋鉄板イタリアンスパを食べようとしたら、
何やらしまっているぞ!
よく読むと、都市整備計画により取り壊し。
近くに移転らしい。


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戻ってみると、全然気づかずに通り過ぎてました。
あんまりおしゃれな喫茶店になってるんだもん(笑)。


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初代夫婦の味を受け継いだ鉄板スパをいただく。
前からそうなのですが、正しい名古屋鉄板スパは、この赤いウインナが
縦割り半分が1-2切れ。シャウエッセンとか使うのは邪道です。

朝から自転車で八事の坂を登り、炎天下山車と歩いて、立ったまま見学して。
前日の疲れもあり、帰りは何回も休んで帰りました。
最後は登りどころか、平坦な道も自転車押したりして…。
ちょっとスケジュールを過密にしすぎたと反省。
次回からはせめてカブでこよう。



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