ナゴヤからの手紙
 
2020年9月
「ハッピー安堵」

iPhone7Plus  ↑映画のパンフレットという物を実に5年ぶり位に買った
9月18日。5カ月間、いや9カ月間待ちに待ったこの日がやってきました。
京都アニメーションが制作したテレビ版アニメシリーズ
「ヴァイオレットエヴァーガーデン」
の劇場版の公開日です。
テレビシリーズの頃からその物語の素晴らしさと作画の
美しさ、そして音楽の完成度の高さ。全てが満点の
アニメーション作品で、京都アニメーションがコンクール
で募集した原作を単行本としても出版している、
全て一から京都アニメーションが制作し、その実力を
世に問うた感動の傑作です。

本来であれば昨年9月に番外編として映画版が公開され、
その後2020年1月にテレビシリーズの続編として、
さらに映画が公開される予定でした。
ところがもう思い出したくもないあの痛ましい事件が
7月に起こり、番外編のほうはもう完成していたので、
予定通り9月に公開されたのですが、
このシリーズの最終回となる続編映画については、
1月の公開は難しくなりました。

その後4月に公開すると発表され、公開日も公表され
楽しみに待っていたのですが、やはり事件により多くの
スタッフの方を失ったダメージが大きかったのか、
公開は9月に延期されました。
私たちが寄付した3億を超える募金は全て遺族や怪我を
負った社員の為に使われ、会社の再建は自力と言う
茨の道を選択した京都アニメーションは、
その間新作の発表をしておらず、この作品の完成に
全力を挙げていたと思われます。
今度こそ公開される!
そう思い4月からさらに5カ月間。

私たちは待ち続けました。この会社が立ち行かなくなるくらいなら、何年でも待つさ。そう言う気持ちでした。
いよいよ本当に公開日が決まり、私がよく行く映画館では
3日前の夕方5時にネット予約が開始になるのですが、
名古屋にパンデミックが起こり、映画館が自粛にならない
事を祈りつつ、当日を待ちました。タイマーをセットして
ウェブに入った途端重い重い!
そして予約を取ろうとすると、もう半分埋まっている!
いやそれは勘違いで新型コロナの影響で間隔を取らねばな
らないので、席が1つ置きになっていただけでした(笑)。

それでももう十数席が埋まっており、この映画を持って
いたファンの思いがどれだけ大きなものかを感じました。
すぐ良く席は取れ、いつもだと
「1人で真ん中の席を予約すると、2人以上で来られる方に
迷惑かな?」
などと思ってしまいますが、今回は例えカップルで来て
も、所詮1つ置きなので、余計な心配をせずに予約
できました。

ところがなんとその後映画館からメールが来て、
19日(土曜日)からの予約は中止。再開は未定と言うので
す。何も理由が書いてないので、必死で新型コロナ関連の
記事を探しましたが特になし。
結局これは土曜日から始まるシルバーウィーク4連休で
予約が殺到する事が予想される為、システム増強をする。
と言う事だった様です。元々前日の18日のチケットは
取れていたのですから関係ないのですが、新型コロナ関連
だったら中止の前倒しもあり得るので、
ドキッとしました。
企業と言うものは何かが起こった時、誰が責任を取るの
か?(そして誰も取りたくないので他部署のせいにする)が
追求される集団ですので、詳しく書かなかったのでしょう
が、季節柄今回は詳しく理由と必ずすぐ再開する旨を
メールで知らせて欲しかったです。
不誠実だと思いました。

当日は雨が降っていましたので車で映画館に向かい、
何か大雨になると言う予報もありましたので、
屋上の屋根つきの駐車場に車を止めました。
もうすでに沢山の車が駐車しており、かなり離れたところ
しか空いてなかったのですが、帰りに車を探すのに
ちょっと迷ってしまいました。
その辺の段取りが歳をとるとどんどん悪くなっていきます
(汗)。

さて映画についてはネタバレにもなりますし、

あまり詳しくは言及致しません。
声の出演をした声優さん達が、口を揃えて
「ハンカチかタオルのご用意を」
とコメントしていましたが、
この作品はテレビシリーズの時から感動の涙を流す。
そう言う作品ですので、覚悟はしていました。

今回の作品はヴァイオレット本人のストーリーと、
それに絡み合ったサブストーリー2つで構成されており、
サブストーリーのうち1つで感動の涙を流し、
もう一つのサブストーリーとバイオレット本人の
ストーリーで安堵の涙を流す。
と言う組み立てでしたが、大変うまく脚本が出来ており、
違和感なしで最後までダーダーと涙を流すことが
できました(笑)。
隣の人たちも、この映画に関しては泣いていることを
周りに恥ずかしがることが全くないので、
みんな大っぴらに感動の涙を流していました。

今回のストーリーは自動式書記人形(実際に発明当時
タイプライターの事をそう呼んだらしい)と言う、
手紙の代筆をする職業が、電話の発達により無くなって
行くか、または形が変わって行く。そう言う文明の進歩に
よる職業の変化。と言うことも考慮に入れて作られて
おり、1つのサイドストーリーでは
ヴァイオレットエヴァーガーデンは過去の伝説の自動書記
人形ということになっています。

「バイオレットは幸せな人生を送ったのだろうか?」
そんなことを思いながら、話が進んで行き、最後に
感動のラストで、
「良かったね」
とおそらく全員が思ったと思います。
バイオレットが幸せになるのは予定調和というか、
あらかじめハッピーエンドが約束されている。
とは誰もが思っていましたが、本当にテレビシリーズから
自分の娘のように成長を見守ってきた多くのファンに
とって、このエンドは本当にハッピー安堵であった
わけです。

さらに続編の番外編の時もそうだったのですが、
エンドタイトルが流れると、すすり泣きが大きくなり
ました。
番外編の時は、この映画に少しでも関わった、
たとえ4月に入社して7月に亡くなってしまった若き才能
であっても、関わった人全てを均等にクレジットして
流したことで涙を誘いましたが、
今回は本当にこの映画を作ってきた人たちの名前が
クレジットされていきました。
作画のところで一番上に池田晶子さんの名前があり、
このシリーズの当初からキャラクターデザインを
支えてきた、京都アニメーションの重役でもある
この方の絵が、もう見れないのかと思うと、
本当に涙が止まりませんでした。

そしてサポートメンバーとして、よく見たことがある
多くの京アニのスタッフの名前が続き、
中に山田尚子さんの名前があった時、
「京アニは全力をあげてこの作品に取り組んだのだな」
と言うことがわかりました。
山田尚子さんは監督として
「けいおん!」
そしてつい最近テレビでも放送された
「聲の形」
と言う名作を作った方です。
一般的にアニメ制作は社内でも独立したユニットで動くの
で、本来山田監督はヴァイオレットエヴァーガーデンには
無関係のはずです。
事故には遭われなかった山田尚子さんが、今回の映画には
肩書きなしでサポートされていたということがわかり、
「これからの京アニは大丈夫だ」
と思って安堵の涙を流しました。

この
「映画版ヴァイオレットエヴァーガーデン」
は、映画史、アニメ史に残る傑作だと思います。
ある意味ディズニー、ジブリに続いて、
京都アニメーションが本当の世界的メジャーになることを
証明するはずの作品だと思います。

ちょっとした予備知識だけでこの作品から見る事は当然
できますが、やはりレンタルDVDやネット配信などで
テレビシリーズの一話から昨年9月に公開された番外編
まで見てから、映画館に行かれる事はお薦めです。

幸い大変大きな興行収入を上げるスタートを切る事が
できたようです。
このまま海外でも公開して、ぜひこの作品を世界中の
人に見ていただきたいと思います。
皆さんもぜひ映画館に行って見られる事をお勧めします。

昨年の番外編では、あの状況の中大きな公開イベントも
打てない中で、
「ヴァイオレットエヴァーガーデン、良かったよ」
と言う口コミだけで、驚異のロングランと上映館拡大が
起こっていましたが、今回も私を含めリピーター続出
だろうと思います。

映画館では1つおきの座席設定をし、さらに
「実験データで20分で完全に換気が行われ空気が
入れ替わる」
と言うことを繰り返し放送していました。
映画館は三密ではないと言うことです。
私も細かいところで見直したい場面があります。
例えば、時間が経ってヴァイオレットが過去の伝説に
なった世界で、郵便屋さんが使っているバイクが何か
スーパーカブのような気がしてそれも確認したい(笑)。

当日は併設されているモールのフードコートの
リンガーハットで、ちょっと張り込んだ昼食
(ちゃんぽん大盛り)を食べてしまいました。
何か幸せな気持ちになった時って、お腹が空くんです。

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